みんなの体験記
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「自然体験が子どもの成長に」高遠の森で窯焼きピザ&クラフト作り
国立信州高遠青少年自然の家
世の中は空前のアウトドアブーム。旅のプランにアウトドア体験をと考えている方も多いのでは?

伊那市高遠町の「国立信州高遠青少年自然の家」では、伊那谷の大自然を生かしたさまざまな体験ができます。キャンプや星空観察、クラフト作りのほか、160万㎡の広大な敷地内には、ハイキングコースやマレットゴルフ場、湖、宿泊施設もあり、1日中…と言わず、連日楽しめるスポット。11月中旬、子どもたちを連れて野外炊飯&クラフト作りを体験してきました。
森のキッチンで!五感で味わうおいしいひととき
高遠町の中心部から車で約25分の森の中に建つ「国立信州高遠青少年自然の家」。今回は、こちらの自炊棟をお借りして、生地から作る焼きピザに挑戦します。

体験指導員歴14年の藤澤正さんに見守っていただいて、さっそく体験スタート。

レシピはいたってシンプル。小麦粉にオリーブオイルと水を加えて生地をこね、しばらく寝かせ、のし棒で薄く伸ばしたら、具をのせて焼く…たったこれだけです。「これなら僕にもできる!」と子どもたち中心に調理を進めます。
作り方を教えてくれる藤澤さん。親しみやすい人柄に子どもたちもすぐに打ち解けた
こねた生地を4等分に丸めて、寝かせること約1時間
生地を寝かせている間に、窯の準備。火の周りに自然と人が集まる
具材をカットしてトッピング。ケンカにならないよう均等にお皿に分ける。兄弟あるある
ピザの準備ができたら、いよいよ焼きます。ブロックとレンガ、鉄板を組み合わせた本格的な窯に期待が高まります。2枚の鉄板の上と下両方に薪を仕込み、火力は十分。パチパチと音を立てながら燃える炎の中にピザを投入。
煌々と燃える炎に癒される。外飯の醍醐味だ
6~10分でチーズが溶けて程よく焦げ目がついたら焼き上がりのサイン。焼き立てをハフハフしながら頬張ります。芳ばしい香りに、クリスピーピザのサクサクとした食感がたまらない。トースターでは出せない、窯焼きだからこそのおいしさに大満足。

体験時間は、片付けも含め約3時間。この日は風があり寒かったのですが、静かな森の中で火を囲む団欒のひとときに、日々の喧騒を忘れ英気を養うことができました。
いびつな形も、不揃いな具材も、手作りならでは
今回はピザを選びましたが、他にも、カレー、焼きそば、チャンチャン焼き、お好み焼きなど豊富なメニューがあり、申し込みの際に注文しておけば、分量なども測って準備しておいていただけるので、買い揃える手間もありません。こうした配慮も利用しやすい理由のひとつです。

ちなみに、こちらで使っている薪は、伊那谷で障害者の自立支援を行う『社会福祉法人アンサンブル会』の方々が割って作った薪なんだそう。ここでの体験が、福祉支援の一端も担っているんですね。
教育施設だからこその充実した設備
本館のすぐ脇に建つ自炊棟。屋根があるから雨の日も安心
それにしても広い自炊棟。なんとこの棟だけで、60人(6班)規模での利用が可能とのこと。さらに、敷地内には50人規模で使える「野外炊飯棟」があと6棟もあるそうです。学校やサークル、子ども会など大人数で利用できるというのも納得です。

さらに、同施設は、青少年の健やかな育成を基軸に、国立青少年教育振興機構が運営する施設のため、条件(※)が揃えば、施設の使用料が無料になるとのこと。充実の設備が利用できるうえ、予算面でも旅の強い味方になってくれそうです。

※利用規約に基づく。飲食代、クラフトの材料費、宿泊時のシーツ等洗濯料は別途。事前申し込み必須。
手作りの良さを体感!マイはし&デコレーションキャンドル
午後は暖かい室内で「マイはし」と「デコレーションキャンドル」作りに挑戦。

箸の材料は、県産の「木曽ヒノキ」を使っているそうです。小刀とヤスリを使い、滑らかに手に馴染むよう形を整えます。デコレーションキャンドルは、カラフルな板状のロウを粘土のようにこね、土台となるキャンドルに貼り付けていきます。先ほどまで、屋外で大騒ぎしていたのが嘘のように、黙々と作業に没頭します。
完成まで約2時間。どちらも指導員のつかないプログラムですが、丁寧に書かれた手順書のおかげで安心して取り組むことができました。同施設には、このようなクラフト体験のプログラムが全部で15種類以上(2020年11月現在)あり、雨天の場合にも室内で楽しめる体験として人気だそうです。
子どもの頃の体験活動が、自己肯定感を育てる
こんな風に楽しく体験することが、実は子どもの成長にすごく大切なのだそうです。
国立青少年教育振興機構の調査によると、自然体験や生活体験、お手伝いの経験が豊富な子どもほど自己肯定感が高く、また、保護者が体験を積極的にさせる「体験支援」的な関わりをしているほど、子供の礼儀・マナースキルが高い傾向があるとの調査結果もあるそうです。自分でキャンプグッズやクラフトの材料を買い揃えるのは、普段しない人からすると少しハードルが高いですが、こうした教育施設を利用すれば、指導員の方の力も借りながら気軽に楽しめて、なおかつそれが心の成長にもつながると知り、何度でも訪れたくなります。
ログハウス型の宿泊施設は日本で唯一。絶景の星空を観に来てほしい
体験の合間に、事業支援室長と事業推進係長を兼任する牧野敦さんと、事業推進係員の角田怜那(すみたれいな)さんに、施設のおすすめを聞いてみました。
「当館の宿泊施設は、全国28施設の中で唯一、ログハウス8棟・ロッジ4棟の分散型になっているんです。最大440人の収容が可能で、団体からファミリーまで幅広くご利用いただいています」と牧野さん。高遠の自然に魅了され、年間約10万人(2019年実績)が訪れますが、その大半がリピーターとのこと。
角田さんからは、「当館には300mmの大きな天体望遠鏡があるんです!土星の輪や木星の縞模様も見え感動的です。ここは山に囲まれていて光が遮断されるので、星が本当にキレイに見えますよ」と教えていただきました。
同施設では、星座観察会やファミリーフェスティバルなど、年間を通してイベントが目白押し。目が離せません。
星座観察会 写真提供:国立信州高遠青少年自然の家
大きな天体望遠鏡 写真提供:国立信州高遠青少年自然の家
ファミリーを招いたイベントの様子 写真提供:国立信州高遠青少年自然の家
「体験を終えた子どもたちの親御さんからは、『自信をつけて帰ってきた』とか『甘えていた部分がしっかりした』などの感想をお寄せいただくことがあります。そうした反応をいただけるとこちらも嬉しいですね」。そう話す牧野さんの笑顔から、子どもたちの成長を願う真摯な気持ちが伝わってきます。

大自然の中でする非日常的な経験は、子どもたちにとっては思い出以上の価値があるのでしょうね。ご予約は時間にゆとりをもって、ぜひ一度足を運んでみてください。
予約詳細
◆国立信州高遠青少年自然の家
所在地:長野県伊那市高遠町藤沢6877-11
TEL:0265-96-2525
公式HP:https://takato.niye.go.jp

ご利用には40日前の申し込みと書類の提出が必要です。
必要であれば、駅から送迎も行なってくれます。

*この記事の情報は、令和3年1月21日現在の情報です。

その他関連リンク
国立青少年教育振興機構青少年の体験活動等に関する意識調査・研究
https://www.niye.go.jp/files/items/612/File/9_chousakenkyu.pdf
http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/107/File/20180129gaiyou.pdf
みんなの体験記ライター
投稿者上島
年代30代
趣味温泉・料理・ねこが好き
自己紹介伊那谷生まれ。Uターン。 田舎の子育ては楽しい。アクティブに遊べる美しい自然と、おいしくて楽しい食・農体験がいっぱい。日々を癒やしてくれる温泉が選ぶほどあるのもうれしい。そんな故郷 伊那谷の魅力を綴っていけたらと思います。
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