みんなの体験記
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信州のそばをオシャレに食べる。ガレットという食文化を体験
kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN
伊那谷×ガレット
「ガレット」とは、フランス料理で、そば粉の生地を薄く焼いて食材を包んだもの。発祥地のブルターニュ地方は、丘陵地が多く寒暖差がある気候で、東西をアルプスに囲まれた伊那谷によく似ているといいます。ソバと共にリンゴ栽培も盛んで、りんごの発泡性ワイン「シードル」も特産品の一つ。伊那谷もガレットとシードルを提供するお店が増えており、新しい食文化の流れが起こっています。

今回は伊那谷の伊那市にあるレストラン「kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN(クラベコンチネンタルデリカテッセン)」で、ガレット作り体験をしてきました。
欧州料理が食べられる店
褐色に覆われた店のショウウィンドウ。そこから漏れ出す柔らかい照明……kurabeのお店は伊那市の繁華街から程よく外れた静かな家並みの一角に佇んでいます。「おいしい野菜が獲れる畑に近く、新鮮な食材を積んだ軽トラックが店に横付けできる所に居たい」。オーナーシェフの渡邊竜朗さんはそう話します。
kurabeは、地元では「パスタが美味しい」と評判で、イタリアンの店と思っている人もいますが、店内には伊那谷には珍しい、本格パスタソースばかりでなく、さまざまな欧州料理のテイクアウト総菜も並んでいます。それは「ヨーロッパ大陸のあらゆる料理を提供したい。そして家庭で食べてもらえるようにしたい」という思いからとのことです。
ガレットを焼く
ガレットづくりの体験は、店内の飲食エリアではなく、なんと厨房で行います。ガレットを焼くコンロも、実際にシェフが使っている鉄板で焼きます。なんだかこれだけで〝本格的〟な印象。小さいお子さんの場合は、危なくないように、ホットプレートで焼くこともあります。これなら5 歳くらいから体験は可能だそうです。渡邊さんにフランスで修業をしてきた料理人という枠を越えて、地域のこと・農産物の事・そして食文化等のお話をしていただきながら、和やかに体験が進みました。
まずは中に入れる具材を焼いていきます。通常の体験では「ガレット・コンプレ」というチーズ・卵・ベーコンを入れた基本のガレットを作ります。体験したこの日は、地元の野菜が豊富に獲れる季節だったため、「伊那谷夏野菜のガレット」を作りました。「コンプレ」と体験価格は変わりますが、こちらの方が、農家の方の紹介まで話が広がって、伊那谷の食に接近できるかも。もしご希望があれば予約時にご相談ください―とのことです。いよいよガレットの生地を丸く焼きます。体験時の生地は、地元のリンゴで作られたシードルを使い、あらかじめ調合・発酵された生地を使います。体験時にレシピと生地の作り方もしっかり教えてくれます。ポイントは、生地を切るようにかき混ぜること。力いっぱいかき混ぜるとそばのグルテンが出てしまうので、優しく手早く混ぜるのが良いそうです。
250℃くらいに温まった鉄板の中心に生地を落とし、丸いトンボを使って一気に円を作ります。トンボの柄を鉛筆を持つように握り、指先と腕の回転を使って力を抜いてくるくると回します。均等な厚みになるか、穴は空いてしまわないか、一番どきどきする工程でした。初ガレット作りの私でも、隣で穏やかに褒めていただきながらの指導で、いつのまにか形になりました。
生地が丸くなったらそのまま焼き続けながら、上に具材を置いていきます。ベーコンを乗せる・卵を割り落とす・チーズをすりおろす。チーズをすりおろすあたりには、ちょっとシェフになった気分。卵が半熟になるようにガスバーナーで炙り、最後に具を四方の皮で包むように折り込みます。「ガレットコンプレ」という基本セットならばここまでですが、今回は「伊那谷野菜のガレット」でしたから、ここから先ほど炒めておいた色とりどりの伊那谷野菜を盛り付けていきました。「この葉は円を描くように」という飾りつけのバランス、「全体に対角線を引いたイメージで半分にかける」というセンスの良いチーズの振りかけ方、どのアドバイスもとても勉強になって、素人の私でも美しく仕上がりました。日常のお料理のヒントになることもたくさん!
自宅の食卓が華やぐ時間
いざ実食は、飲食エリアで。香りからは「そば」を感じません。折りたたんだ丸い生地の外側はほどよく焦げて香ばしい。シードルの酸味を少し残し、中心は食べ応えのある弾力のある生地。素材を邪魔しないチーズの塩分が、伊那谷の野菜と相まって、一口目から堪能できる味でした。
ここ伊那谷は二つのアルプスに囲まれた地で、清浄な水と陽当たりの良さにも恵まれ、豊かな農産物が育ちます。無農薬で育てたそば粉の質は料理の工程で違いがわかります。地元の食の資源を大切にする心が、素材にふさわしい調理法で、おいしく食べるための食文化として定着し、継承されてきたのです。

フランスブルターニュでは、「家でつくるガレット」がその象徴的なもので、気候・風土がよく似た伊那谷にも、この食文化を拡げて行きたいと考えます」と渡邊さん。だからこそレシピもすべて公開して、呼ばれればどこへでも教えに行くようにしているそうです。また、渡邊さんは、料理人という枠を超えて、伊那谷の若手生産者と生産物を調理して提供する飲食店をつなげる「結(ゆい)」ネットワークを作り、地元で栽培した有機野菜を地元で使うという「地産地消」の取組みにも力を入れています。伊那谷には「伊那谷そば」「伊那谷シードル」「伊那谷野菜」があり、それを更に美味しくしてくれる料理人がたくさんいます。思いのある生産者と飲食店の「結(ゆい)」を強くし、新たな「結(ゆい)」が繋がることによって、上伊那の新しい食文化が生まれています。渡邊さんの笑顔は、お店の雰囲気そのままに、温かさを湛えていました。渡邊さんの「ガレット作り体験」は、難しい工程はなく、思ったより簡単にガレット作りができます。自宅の食卓がグンとオシャレになりそうです。ぜひ皆さんも体験してみませんか?
【kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN(クラベコンチネンタルデリカテッセン)】
■住所 長野県伊那市西町5111-16
■℡  0265-76-9086
■MAIL  kurabe_pasta@yahoo.co.jp
■営業時間 11:00~19:00(お食事11:30~)
■定休日 火曜日・水曜日
■ガレット体験(要予約) 基本ガレット大人¥3,000 子供¥2,000 
■対象年齢 5歳位から
■所要時間 1.5H

*この記事の情報は、令和3年2月5日現在の情報です。
みんなの体験記ライター
投稿者ともたろう
年代40代
趣味ものづくり、イベント企画
自己紹介伊那谷で生まれ育つ。ほどほどの田舎で、仕事・子育てしてきた経験や想いを、より楽しく暮らす提案として発信していけたらいいなと思っています。
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