みんなの体験記
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伝統ある木工技術「組子細工」の手作り体験~宮田村~
梅が
「組子細工(くみこざいく)」をご存知ですか?
細い木片を釘などを使わずに組み合わせて幾何学模様のオブジェクトなどを作る装飾技法のことで、古くから和室の欄間(らんま:敷居と天井の間部分にはめる和式建具)や障子などの飾りに使われてきた伝統技術です。この伝統技術を身近に体験できる講座が伊那谷で開催されると聞き、「組子細工って何?」という興味本位で、子ども3人(小6・小4・年中)を連れて訪ねてみました。
組子細工」の装飾が施された工芸品
「j-kumikoプロジェクト」と宮田村地域づくり
「組子細工」を教えてくれるのは、宮田村の有限会社三浦木工の社長でこの道44年の建具職人である三浦 政夫さんと、彼の義理のお姉さんで同じく宮田村にある「梅が里ギャラリー手作り屋」事務局の三浦 典子さん。

政夫さんは、三浦木工と長野県建具組合が共同に立ち上げた「j-kumikoプロジェクト」のメンバーで、日本の伝統的な組子細工の技術を次世代に継承し、世界に発信していくための活動に取り組んでおられます。長野県建具組合には80社ほどが登録されており、高い技術力を持つ建具職人がネットワークを組んで消費者のニーズに応えています。

一方、典子さんは、組子細工をはじめ様々な手作り仕事を宮田村の地域おこしに活かしていくことを目指して、平成20年、仲間と一緒に「梅が里ギャラリー手作り屋」を創設したとのこと。今回お邪魔した体験講座は、政夫さんたち「j-kumikoプロジェクト」が、「組子」を身近に感じてもらおうと考えて開発した「組子キット」を使う形で、共同企画したのだそうです。

体験講座の会場は、「梅が里ギャラリー手作り屋」の1軒隣にある「村人TERRACE」。ここも宮田村の人々が集い、地域の活性化を図るためのイベントスペースです。
伝統の匠の技、「組子細工」の継承のために
「組子」とは、薄い板状の木片や細い四角い棒状の木片を、釘を使わず、接続用の「ほぞ」の手法などの専門技術を使って組み合わせていく伝統技術を指します。それによって作られた作品を指すこともあります。木を使った幾何学的な模様が作り出せることから、古くから、日本全国で和式建築の装飾品としても利用されてきました。飛鳥時代に建設され、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺でも、手すりの装飾として用いられています。「古民家」の梁と天井の間にはめ込まれた、細い木片が縦横に組まれた「欄間(らんま)」とか、積もった雪を屋内から鑑賞するために作られた「雪見障子」の装飾とか、色々なところに使用されています。

しかし、和式建築が年々減少する時代の流れの中で「組子」の技術も衰退しつつあり、長野県では建具職人さんがこの匠の技を継承発展させるために、粘り強い努力をされているのだそうです。
繊細な「組子」の体験も、キットで簡単に
今回の体験講座には、私たち家族のほかに、15名ほどの参加者が集まりました。作るものは、箸置きとコースターです。まずは箸置きから挑戦。このような箸置き用のキットが用意されていました。子どもたちは、パズルのような見た目に興味津々。
木片にはくぼみが入れられていて、それを組み込んでいくという方法です。
右側の木片のくぼみに、左側の木片の細い部分を組み込んでいきます。長さやくぼみの幅・数が違う上に、軽くて薄い。組み込む順番を間違えないように、優しくそっとはめ込むのがカギになります。頭を使いそうな作業に対し、子どもたちは「よし!やるぞ!」と机に向かって集中モード。
くぼみが上だけの木片と、上下にそれがある3本の木片をはめ込み、アルファベットの「Z」をイメージしてスタンバイ。この形から作っていきます。政夫さんの説明や、お手本の作品を参考にしながら慎重に•••。
しっかり溝にはまると、きれいに固定されました。
使うのは木材と少しの思考力だけ。実に素晴らしい技術だと思います。
「組子細工」は、まさにパズルのようでした。最初は木片同士を固定するのに手こずっていた子どもたちでしたが、くぼみにはまり出すと「次はここかな?」「きっとここだ!」と楽しそう。小4の息子は分からないことがあると、政夫さんや参加者の方に積極的に話しかけていました。子どもの意外な一面を見たり、初めましての方と交流できるのも、体験講座の醍醐味です。

全てのくぼみを埋めていくと、可愛らしい雪の結晶のような形になりました。年中の娘もほとんど自分で作りました!
つぎに、その隙間に花の形のような模様の部分を組み込むのですが、これには少しテクニックが必要。
花型の突起部分にある三角形をやすりで微調整をして、雪の型の間にはめます。三角形の面と模様の側面をぴったり合わせるのがポイント。大き目の木片に紙やすりを巻き付けたものに、慎重に花の突起部分を押し付けて、静かに磨きます。側面を削りすぎても間をすり抜けてしまうので、こまめに磨いてははめるを繰り返します。なるほど!「組子」とはこういうものかを実感することができました。
みんなで手伝いあいながら、完成しました!
5センチの箸置きと9センチのコースターのできあがりです。どちらも同じ工程でした。
かわいい仕上がりに大満足です。
どれも個性あふれる作品 コップを置いても安定感◎
美味しいケーキとコーヒーでひとやすみ
手作り体験のあとは、「村人TERRACE」のいれたてコーヒーでひとやすみ。おまけに、近くにある「リンデン洋菓子店」で、なんと、ケーキを選べるのです。種類が豊富でどれも美味しそう!
私はチーズケーキ、子どもたちはチョコレートケーキを選びました。

ドリンクは、子ども用にジュースのサービスもあります。みんなが迷わず選んだのは、昔懐かしのビー玉付きのラムネ。終わりまで楽しませてくれるお心遣いが嬉しかったです。
「梅が里ギャラリー」で「組子細工」の作品を見学
美味しいおやつをいただいたところで、「村人TERRACE」の1軒隣にある事務所兼ギャラリーを見学しました。ここは、「組子細工」に親しんでもらうために常設されている作品展示場で、三浦木工を中心に「j-kumikoプロジェクト」の作品に触れ合うことができます。

立体的なものから、おしゃれな模様のものまで、多様な形に変身した組子細工の作品がありました。人の手によって作られているだなんて、信じられないくらい緻密にできています。
「組子細工」は多くの可能性を秘めた秘術
政夫さんは年に一度、「組子細工」の全国大会に出場されており、「長野県知事賞」をはじめ、数々の賞を獲得されています。
「人が作れないものを作りたい。そして、自分が楽しいから続けることができます。できあがったものを見た人が、驚いたり喜んだり、反応してもらえるとやりがいを感じます」
細かな作品を作るには、職人でも多くの時間がかかるそうです。政夫さんは、「そこが大変なところ」とおっしゃいました。作品の一つ一つに多くの時間と想いが詰まっているのだなぁと思わされました。
最後に、政夫さんに「組子」の魅力を教えていただきました。
「何百年も前からあって、今も生きている素晴らしい技術です。組子は緻密な作りですが、型にはまらず、どんな形にもなると思います。たくさんの可能性を持ったもの、それが組子の魅力ではないでしょうか。ちなみにサッカーボール型の作品は、私の娘が子どもの頃に工作で作ってきたものをヒントに作ったんですよ。」政夫さんは、笑顔でそう話してくださいました。

初めて出会った「組子細工」。それは簡単そうで複雑、そしてパズルのようにワクワクするもの。子どもたちにとっても、伝統技術に触れるいい機会になりました。親子で完成させた作品は、体験を思い出しながら、大切に使いたいと思います。
「人の手で作られるものは、あらためてすごい!」と感じました。その可能性に、私たちはこれからも魅了させられることでしょう。
梅が里ギャラリー手づくり屋
【場所】長野県上伊那郡宮田村3252-1
【アクセス】 駒ヶ根ICから車で約15分 伊那ICから車で約20分
【お問い合わせ】Tel 0265-98-7749
URL:https://umegasato.jimdo.com/

■組子細工予約詳細
【内容】組子細工手作り体験 コースター・箸置きの製作 
【参加費】一人1,500円~
【所要時間】講座・喫茶でおよそ90分
【お問い合わせ/ご予約】梅が里ギャラリー手づくり屋(j-kumikoプロジェクト) Tel 0265-98-7749
【その他】毎月、季節の催しや子どもさんも楽しめるイベントが盛りだくさんです。
J-kumikoプロジェクト  https://j-kumiko.com/
(有)三浦木工https://miuramokko.com/

■周辺情報
■村人TERRACE
【場所】長野県上伊那郡宮田村3247
【アクセス】 駒ヶ根ICから車で約15分 伊那ICから車で約20分
【お問い合わせ】Tel 0265-98-6456
URL:http://miyadaterrace.jp/
■リンデン洋菓子店
【場所】長野県上伊那郡宮田村仲町3252
【お問い合わせ】Tel 0265-85-2409
※「宮田どうふ」入りのレアチーズをたっぷり巻き込んだロールケーキ「天使のつむじ」をぜひご賞味ください!

*この記事の情報は、令和3年2月に制作し、令和5年11月に内容の見直しをしたものです。
みんなの体験記ライター
投稿者気賀澤
年代30代
趣味キャンプ 漫画 ねこ好き
自己紹介新潟県生まれ伊那谷育ち。暖かい季節は、家族で地元のキャンプ場を巡っています。伊那谷の自然は、大人も子どもも楽しめる要素でいっぱい。魅力あふれる私のふるさとをご紹介していけたらと思います。よろしくお願いします!