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田園地帯を彩る黄金色のじゅうたん~中川村「渡場のイチョウ並木」~
渡場のイチョウ並木
伊那谷の南の玄関口にある中川村。そこには訪れる人を魅了する美しい景色が多くあります。

今回ご紹介するのは、「渡場(どば)のイチョウ並木」。村の名所となった背景と魅力、それを守る地元の方の思いに迫ります。
ゆっくり眺めていたくなる 美しい並木道
場所は中川村葛島(かつらしま)の渡場地区。村内を通る県道18号線を南に向かい、ゆるやかなカーブを抜けた先にそれはありました。
ひらけた風景の中に、ひときわ目を引くイチョウ並木。なんでも、「美しい村なかがわ36景」のひとつなんだとか。車中から見てもきれいですが、歩いてゆっくり散策します。
葉が風に吹かれて、そよそよと音を立てています。鑑賞で訪れた人は、写真を撮ったり、落ちている銀杏を拾ったり楽しんでいる様子でした。地面には黄色の落ち葉でいっぱい。じゅうたんのようなふわっとした踏み心地です。ふたりがけのベンチに座り、銀杏の香りと黄金色の世界を満喫しました。
午前11時頃撮影(右奥:「南向(みなかた)水力発電所」)
10月下旬撮影
並木道の訪問は今回(11月中旬)で2度目。11月初旬に訪ねた時には、さわやかな黄緑色でしたが、一週間ほどで真っ黄色に!ピークをずらすと色の変化や季節の移ろいを感じることができます。

同じ日のうちでも、時間をずらすとまた雰囲気が全然違います。実は、この渡場のイチョウをよく知る方から、いちおしの撮影時間帯を教えていただいたのでした。
それは午後3時から日没前。西日が差し込み、残光にあたるイチョウがとても美しいんだとか!それで、2度目の今回は、正午前に一度並木に行き、3時間後の午後3時にもう一度行ってみました。
全然違うでしょう?! イチョウの木が夕焼けを背負って、立体的に見えます。日中とはまったく別の雰囲気に、来て良かった!と思った瞬間でした。写真が好きな方、ぜひ時間をずらしてみてはいかがでしょうか。夕暮れ時はおすすめです!
イチョウ並木のはじまりと先代の思いを引き継ぐ地域の人々
並木道は、渡場地区に住む15名の有志の方々によって管理されています。今回、撮影ポイントを教えてくださったのが、有志代表3代目の小池厚(こいけ あつし)さんです。イチョウ並木についてのお話をお伺いしました。

「イチョウの木を植えたのは、昭和58年になります。当時の住民たちは、南向発電所の南西側に広がる田園地帯を整備したときに出来た発電所の放水路(トンネル)脇に残された場所を何かに活用できないかと、中部電力の了解をもらい、放水路沿いに25本のイチョウを植えたのが始まりです。美しい景色が村に活気をもたらし、訪れた人が立ち止まってくれるような場になれば、という想いがあったと思います」と、先代の思いを語り継がれておられます。
有志の皆さんで熱心にイチョウの世話をされているそうで、「今は2品種27本のイチョウが植えてあります。「久治(きゅうじ)」14本、「藤九郎(とうくろう)」13本です。銀杏を拾って洗い、農協に出荷して維持費をまかなっています。実が熟れる時期に収穫する作業も、みんなで協力して行っています。持ち帰りは自由ですが、踏んでしまわないよう注意してほしいですね」と話してくださいました。
中央アルプスを背景に 絵画のような色合い
地元の人に愛される「 渡場いこいの広場」
先代の想いを次世代へつなげるために、小池さんたちはイチョウ並木を「渡場いこいの広場」と称し、観光客や地元住民に親しんでもらおうと、日々管理に取り組まれています。
「中川村の魅力は、未開発で自然豊かなところが多く、四季の移り変わりを肌で感じられることです。イチョウ並木もそのうちの一つで、自然から生まれた場所はいつまでも人々に愛され、大切にされると思います。美しい風景を、今後もより多くの人に伝えていきたいですね」と小池さん。

数年前から並木道のライトアップを行っています。夜の暗闇の中に照らされるイチョウ並木・・・幻想的な風景が目に浮かびます。いつか、ライトアップされた夜の並木道を歩きに行きたいなと思いました。実現できることを今から楽しみにしています!

今や村の名所ともなった「渡場のイチョウ並木」。地元の方から、とても大事にされていることを感じました。何度訪れても、毎回違う姿に感動しました。のんびり散歩も、ドライブしながら眺めるのもどちらもおすすめ。

紅葉の時期にしか見られない黄金色の世界を、ぜひその場でご堪能ください!
■スポット情報
・渡場のイチョウ並木
【所在地】長野県上伊那郡中川村葛島渡場1456
【アクセス】松川ICから車で15分6km 駒ヶ根ICから車で35分22km
【お問い合わせ】中川村農業観光交流センター「なかがわ旅の案内所」内中川村観光協会 Tel 0265-96-0658 Mail shokan@vill.nagano-nakagawa.lg.jp
【駐車場】北側10~15台 南側5~7台

■周辺情報
・中部電力南向水力発電所
※昭和初期のおもむきあるモダンな建物。かつての「電力王」福沢桃介が最後に手がけた発電所です。春には付近の桜も見もの。ぜひお立ち寄りください。
*この記事は、令和3年2月に制作し、令和5年12月に一部内容の見直しをしたものです。
みんなの体験記ライター
投稿者気賀澤
年代30代
趣味キャンプ 漫画 ねこ好き
自己紹介新潟県生まれ伊那谷育ち。暖かい季節は、家族で地元のキャンプ場を巡っています。伊那谷の自然は、大人も子どもも楽しめる要素でいっぱい。魅力あふれる私のふるさとをご紹介していけたらと思います。よろしくお願いします! 
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