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天空の展望台 ふたつのアルプスと伊那谷を望む~中川村 陣馬形山~
陣馬形山
長野県南部にある中川村。魅力のひとつは、自然豊かな地域ならではの観光スポットがあることです。今回は、「陣馬形山(じんばがたやま)」をご紹介します。山頂からの眺めは、伊那谷随一と言われるほど。飯島町在住の筆者は普段は山を見上げる側。「てっぺんからの景色ってどんなものだろう?」と思い、紅葉が見頃の11月中旬に行ってみました!
山頂にて 中央アルプスと伊那盆地
自然の大パノラマに感動!
初登頂のこの日、素晴らしい景色に出会うことができました!
山頂から見た中央アルプスと、左右に広がる伊那谷の街並みです。
空と山と大地のバランスが絶妙で、絵画のような美しい景色に見とれてしまいました。標高が高く、いつもよりも風を強く感じます。少し肌寒い秋風も、清々しく気持ちがいい!ずっと立っていると、空に吸い込まれそうな感覚に。囲いのない山頂の広場には、2~3人が座れるベンチと望遠鏡があります。5、6人の観光客は写真を撮ったり、望遠鏡を覗いたり、景色を楽しんでいる様子でした。地元中川村からサイクリングで訪れた方は、「よく散歩で来ます。気分転換になりますね」とお話ししてくださいました。私もベンチに腰掛け、気持ちの良い開放感をしばし味わうことに。

そういえば、小学校行事で登頂した4年生の息子も「てっぺんから僕の小学校が見えた!」と嬉しそうだったなあ。確かに、車の動きや屋根の色がよく見えるではありませんか。自分の住む地域を上から眺めるのは、感動的な体験でした。
山頂広場へと続くなだらかな木造階段
陣馬形山と天竜川がつくりだした伊那谷
「伊那山地(南アルプスの西側に並行して南北に延びる標高1,600~1,800メートルの山域の総称)」に属する陣馬形山。標高1,445メートルのその山は、「中川村民の心の山」として親しまれており、中央アルプスと南アルプスの両方を一望できます。2002年(平成14年)3月には、優れた眺望から双眼式の望遠鏡が設置されました。「中央アルプス(木曽山脈)」は、木曽谷と伊那谷にまたがって南北に連なっており、木曽川と天竜川に挟まれた山脈です。陣馬形山からは、正面に見える南駒ヶ岳から空木岳、さらに宝剣岳から木曽駒ヶ岳(東駒ヶ岳)に連なる中央アルプス山塊がまさに一望できます。

一方、「南アルプス(赤石山脈)」は長野県、山梨県、そして静岡県にまたがって連なる山脈を指します。日本第2位の高峰である「北岳」、穏やかな山容から「南アルプスの女王」と呼ばれる「仙丈ケ岳」、山脈名の由来である「赤石岳」など9つの3000メートル峰があります。これらの山々も見渡すことができるのです。
山頂から見た南アルプス
広場にて 山の名前と照らし合わせながら眺める楽しみも
眼下に広がる町並みは「田切地形(たぎりちけい)」で成っています。「天竜川の河川段丘や断層崖を横断するように流れる『大田切川』や、『中田切川』、『与田切川』などが、段丘面を激しく侵食して形成した地形」をいいます。伊那谷の「谷」は、山からたぎり落ちる川の水によって侵食された姿なんだそう。山頂からは天竜川や、木々で仕切られた独特な地形を確認することができました。視野を広げると、どこまでも平地が続いています。
写真右側は駒ヶ根市方面
ユニークな歴史的背景 あの武将の伝説も!
中川村観光協会事務局に詳しいお話をお伺いしました。
「山頂からの景色は本当にきれいです。例えば、紅葉は赤や黄色の葉が一面に、夏は新緑、冬は冠雪した中央アルプス。そして春は桜色に染められた田切地形を望めます。四季折々の自然の表情を堪能できるのが魅力です。ふたつのアルプスの山景色は、他の地域ではなかなか見ることができないと思います。どこを見ても絵になる最高の場所です」

陣馬形山にはいくつか言い伝えがあるとのこと。

まずは、山頂のトイレの建設時に、なんと縄文土器が発見されたんだそう。縄文人がキャンプをしていたのでは?と話題になったとか。そうであれば、キャンプの歴史はずいぶんと長いですね!

次に、「陣馬形山」の由来。かつての戦国武将が陣をかまえた場所だったり、山の形が「陣羽織(じんばおり)」という衣装に似ていたり、諸説はあるもののそんな話があるそう。また、長野県にゆかりのある「武田信玄」の軍が、のろしをあげたという伝説もあるとか。それにちなんだ「のろしリレー」というイベントが、毎年夏に行われています。地元の方の主催で、伊那市や山梨県の甲府まで、隣の山から上がるのろしが見えたら、自分の山でものろしを上げるという形で、「のろしをつなげる」のだそうです。できたらそれも一度は見てみたいですね。
ここから「のろし」をあげていた!?
今回は、「陣馬形山」にて雄大な自然の姿に触れることができました。空に近づけそうな、不思議な気持ちになりました。まさに「天空の展望台」。季節ごとに、違った景色を見られるのも自然の醍醐味ですね!伊那谷特有の地形にも注目していただき、その絶景を眺めてみてください。その開放感を求め、何度も足を運びたくなるはずです。
■スポット情報
・陣馬形山
【所在地】長野県上伊那郡中川村大草1636
【アクセス】松川ICから車で50分 21km 駒ヶ根ICから車で60分 29km
※道中は案内看板が随所に設置されています。
山頂入り口を左折すると、「折草峠(おりくさとうげ)」に通じる道があります。サイクリングロードとして舗装されており、駒ヶ根方面へ、のんびりドライブを楽しめるコースです。
【お問い合わせ】中川村農業観光交流センター「なかがわ旅の案内所」内中川村観光協会 Tel 0265-96-0658
Mail shokan@vill.nagano-nakagawa.lg.jp
中川村HP https://www.vill.nakagawa.nagano.jp/site/jinbagata/
■周辺情報
・陣馬形山キャンプ場
【所在地】長野県上伊那郡中川村大草1649-1
【お問い合わせ】 Tel 070-3106-1050
Mail shokan@vill.nagano-nakagawa.lg.jp
※令和3年度より有料・完全予約制 見学は引き続き無料です。
*毎年12月1日~4月上旬まで陣馬形山へ通じる村道が冬期通行止めとなります
*この記事は、令和3年2月に制作し、令和5年12月に一部内容の見直しをしたものです。
みんなの体験記ライター
投稿者気賀澤
年代30代
趣味キャンプ 漫画 ねこ好き
自己紹介新潟県生まれ伊那谷育ち。暖かい季節は、家族で地元のキャンプ場を巡っています。伊那谷の自然は、大人も子どもも楽しめる要素でいっぱい。魅力あふれる私のふるさとをご紹介していけたらと思います。よろしくお願いします! 
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