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しだれ桜に光苔、紅葉と冬の枯れ庭。季節を感じさせてくれる光前寺
光前寺
極楽浄土から来迎する阿弥陀仏を感じられる空間があると聞き、むかし話の挿絵などで目にする阿弥陀仏が現れるような、そんな光景を思い描きながら国の名勝に指定されている宝積山光前寺(ほうしゃくさんこうぜんじ)に行ってきました。

光前寺は、貞観2年(860年)に創建された歴史ある長野県下屈指の古刹です。
季節の移ろいを感じることのできる名勝庭園
光前寺は早太郎(はやたろう)伝説と光苔の寺として有名ですが、この庭園は国の名勝に指定され、長野県随一と称されています。

光前寺の入り口にある仁王門をくぐると、長い石畳の参道と杉並木が本堂へと続いています。少し傾斜のある参道をゆっくりと歩きながら、両脇にある石垣の石と石の間を覗いてみると、光苔を見ることができます。石垣の隙間は小さい上に暗いのでじっくりのぞき込みながら探していると、とてもきれいな黄緑色の光を放つ光苔を見ることができました。

光前寺庭園は本堂へ向かう途中にあり、庭園は本坊の座敷に座ってゆっくり楽しむことができます。

一説に極楽浄土の庭園ともいわれ、「阿弥陀仏が極楽浄土から来迎(らいごう)するお姿」を表しているということです。庭園の池の奥にある斜面の植栽や石は、来迎弥陀画(らいごうみだえ)に描かれている、阿弥陀仏が死者を極楽浄土へ迎えるため、山から雲に乗って降りてくる姿を思わせるところから、「極楽浄土の庭園」と言われているのだそうです。

東向きに造られているこの庭園は、午前中に行くと太陽の光がきれいに入り葉を照らします。

秋の紅葉は赤や黄色の葉が太陽に照らされ大変美しく、やはりこの時期に見るのが一番なのではと思いました。

そう思って見ていると、吉澤道人ご住職が「冬の“枯れ庭”が一番よいと言われています。すべての葉を落とし、石の形や庭そのものを見ることができるのです。」と教えてくださいました。

目の前の景色にとられることなく、本当の美しさを感じること。本質を見抜く大切さをご住職に教わった気がしました。

庭園の本坊では、新型コロナウィルスの収束を願い、普段は見ることのできない疫病退散を祈願した平安時代の天台宗の高僧である慈恵大師の掛け軸を見ることができます。

慈恵大師は疫病の流行を鎮めたといわれており、鏡に映っていた慈恵大師の姿が鬼に変わっていったことで「角大師(つのだいし)」とも呼ばれ、その姿をお札に描いて魔除けとして配ったそうです。現在、お札の授与を行っていますので、本堂の参拝と併せて本坊へ疫病退散祈願に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

宝物殿には平安・鎌倉・室町時代の仏画があり、来迎弥陀画(らいごうみだえ/阿弥陀仏が死者を極楽浄土へ迎える様を描いた画)・両界曼陀羅(りょうかいまんだら/仏教の教えを表現した図)・十王画(じゅうおうが/亡者の審判を行う閻魔王など10尊の画)などが収蔵されています。(但し、通常は一般公開されていません。)
庭園
角大師お札
人気アニメに登場!?光前寺と早太郎伝説
早太郎伝説とは、今からおよそ700年も昔、光前寺で飼われていた山犬の有名なお話です。本堂へのお参りの後、絵馬掛所の前を通り三重塔の方面へ進むとその中間に早太郎のお墓があります。本堂に立派な早太郎の像があったので、同等の像があるのかと思い探していると、外柵の中に意外にも小さな丸い石が数個、積み上げられていました。子どものころ飼っていた愛犬が亡くなったとき、石を積み上げた記憶がよぎり、当時の早太郎も同じように石を積んでもらったのかな、と少し切ないような暖かい気持ちになりました。



「最近、早太郎に会いに来てくれる人が増えたんです」そう嬉しそうに話してくれたご住職。光前寺がアニメの中に登場し、聖地巡礼のファンがお参りに来てくれるのだそうです。

2018年から放送されたキャンプが趣味の女子高生が原付バイクで各地を旅する「ゆるキャン△」というアニメ。アニメに登場する志摩リンが長野県を旅行する途中、「わんこ寺(早太郎のこと)」と称し、光前寺へお参りに立ち寄ります。本堂のお参り後、早太郎のお墓にしっかり手を合わせて拝んでいたり、「早太郎みくじ」の木箱から並んで見上げてくる早太郎の人形の可愛さに負けておみくじを購入していたり、細かく光前寺が描写されています。アニメ効果は絶大で、放送当時は早太郎みくじが完売してしまったそうです。また参道途中にある「熊注意」の看板に志摩リンが「熊出るのか!?」と怯えるシーンがあり、訪れたファンが「熊注意の看板はどこにあるんですか?」と問い合わせてくることもあるんだとご住職が笑って教えてくれました。



今では漫画やアニメも文化の一部になっている日本。光前寺と聖地巡礼に訪れたファンは素敵なご縁で繋がりました。ご住職も、「お寺は旅行などのついでに立ち寄ってくれて構わないんです。立ち寄った先で、興味を持ってもらうことが大切なんです」と教えてくださいました。
並んでいる姿がかわいい早太郎みくじ。ゆるキャン△では、志摩リンがこのおみくじを買っている。
三重塔
早太郎のお墓の奥には三重塔(長野県指定文化財)と、鐘楼があります。

また、春は仁王門から大講堂を中心に、約70本の「しだれ桜」があり、夜にはライトアップされて境内が桜色に彩られます。(令和3年度のライトアップは未定です。)
お寺の外には美味しい四季も
季節によって表情を変える光前寺庭園。ぜひ各シーズンを味わってみてください。

光前寺の隣りには、お土産屋さんの「信州苑」があり、地元の季節の特産品が並んでいます

スタッフの方も活気があり、地元の情報も教えてくれるので、こちらもぜひ立ち寄ってみてください。

(スポット詳細)
光前寺
長野県駒ヶ根市赤穂29番地
TEL:0265-83-2736
HP:http://www.kozenji.co.jp
参拝時間:午前9時~午後4時、授与所・庭園拝観:午前9時30分~午後3時30分

(周辺情報)
「お菓子の里 信州苑 光前寺店」
HP:http://www.tsuguya-hd.com/a4chirasi/tool-shinshuuen/

*おすすめは、伊那谷ならではの「赤飯まんじゅう」。伊那谷ではお祝いの席などで振舞われており、その名のとおりお赤飯とお饅頭がドッキングした意外な地元食です。もちもちした生地で包まれ、甘いお赤飯とマッチしてとても美味しいです。ぜひ一度、ご賞味ください。

*この記事の情報は、令和3年3月8日現在の情報です。
みんなの体験記ライター
投稿者山岸
年代30代
趣味本を読む・映画を見る・推しを推す
自己紹介高校卒業後、すぐに上京。「夢を追うのは東京、現実を生きるのは地元」。結婚を機にUターン。子育て奮闘中。子育てに優しい社会作りに貢献したい。子育てママやパパを応援したい。
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