みんなの体験記
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【飯島町 傘山】見て、食べて、香って、学んで 心と体を癒す夏山体験
飯島町 傘山
山登りに行ってみませんか?

飯島町「傘山(からかさやま)」。傘のような見た目にちなんで名付けられたこの山では、本格トレッキングと森林セラピーが気軽に体験できるということで、7月中旬息子と2人で登ってきました!
傘山からみた飯島町 南駒里山クラブ伊藤秀一さんの写真より
極上のアロマセラピー 「クロモジ」を支える里人たち
(傘山と周辺マップ)
今回体験したのは、初心者向けの「町民の森コース」。案内してくださったのは、「南駒里山(みなみこまさとやま)クラブ」と「いいじま森の会」で活動されている伊藤秀一(いとうひでかず)さんです。
「横根山林道(よこねやまりんどう)」を車で登ること15分。午前8時、登山口の入り口「町民の森」に到着しました。カラリとした暑さのなか四方八方セミや鳥の鳴き声が響き渡ります。ジリジリと照り付ける日差しに汗をかき始める母。息子はというと、「名前は?」「何年生?」など、伊藤さんからの質問に答えながらすっかり打ち解けた様子。
虫や植物などでかぶれる可能性もあるので、長袖長ズボンを基本に。私はアウトドア用シューズを履き、息子は運動靴の軽装。伊藤さんからいただいたアドバイスによると、「急な山道があるので、足元は登山靴がおすすめですよ。足に負担がかかったり、痛くなったりするのを軽減してくれます」とのことでした。山登りに適した装備で行きましょう!


山野草について豊富な知識をもつ伊藤さん。私たちのペースに合わせながら、さまざまな植物の説明をしてくれました。


コアジサイ、ツクバネ、ノリウツギなど、私たちにとっては初めて出会う植物ばかり。なかでも印象的だったのが「クロモジ(黒文字)」というクスノキ科の落葉低木です。


小枝には5枚の葉が付き、黄緑色の幹に黒いまだら模様の斑点を「文字」に見立てたことからそう呼ばれているそう。癒し、抗菌などの効能の他、爪楊枝や箸に加工できることから、「いいじま森の会」の皆さんが植樹活動に励み大切にされています。
クロモジの木。枝からはハーブのようないい香りがします
よみがえる里山 再び人々に親しまれる山へ
少し疲れてきたところで、伊藤さんのはからいによる”自然のおやつタイム”。道中に自生していたキイチゴを食べさせてくださいました。8月中旬頃になると写真のようなエビガライチゴが実り、とても美味しいそうです。
南駒里山クラブ伊藤秀一さんの写真より:エビガライチゴ
「山には、体にいいものがたくさんあるんだよ。植物は薬草やジャムになり、木はおいしい水や空気を作る。自然のものがあるから私たちは生きていられるんだ」と伊藤さん。

普段なら、わかっていても実感できないかもしれないけれど、こうして自然の恵みをいただきながらお話を聞くと、より深く納得できるように感じます!
キイチゴをパク!甘酸っぱくておいしい
おやつで元気になり、「町民の森」からゆっくり1時間弱で第1展望台(1,225m地点)に到着しました!


澄んだ空と山をバックに記念撮影。右は傘山、中央には南駒ヶ岳や越百(こすも)山、左には烏帽子(えぼし)岳の絶景が広がります。


傘山は中央アルプス南駒連峰に前座する1,542mの里山で、古くから地域の人々との関わりがあったと言われています。江戸時代から明治時代までは、麓の集落の人々がみんなで薪の採取や植林などを行う「入会山(いりあいやま)」として用いられ、暮らしに身近な存在でしたが、戦後、生活様式の変化にともない山に入らなくなると山道は荒れてしまったそうです。


しかし、「地元の宝にもう一度目を向けよう」と平成17(2005)年、地域の有志が傘山へ登る道を探し、整備を実施。平成25(2013)年10月、傘山登山コース整備完了の記念登山が行われたそうです。
左から堀越寛満(ひろみつ)さん、息子、堀越寿一(としかず)さん、伊藤秀一さん
堀越寿一さんと堀越寛満さんは「南駒里山クラブ」の一員であり、登山道の開さくと整備を行った立役者。伊藤さんいわく、寿一さんは傘山へ登る道を開拓した生みの親、寛満さんは登山の整備を長年続けている育ての親なんだとか。この日も林道の見回りをされていました。


「仲間と一緒だからこそ、里山をよみがえらせることができました。山登りは元気の秘訣です」とお2人。
「南駒里山クラブ」は結成10周年。里山の保全・再生活動に取り組んでおられます。また、傘山のガイドや地元の小中学生の山登り体験や登山サポートなど、地域との交流を続けています。
登ってよかった!美しい絶景と嬉しい出会い
さあ、じつはここからが登山の本番です。

林道ウォーキングを楽しんだあとは本格的な登山道へ。急な斜度の道が続きます。

木々の間にロープが張られた箇所が。「南駒里山クラブ」の会員さんたちが、登りやすいように設置したものだそう。登山者を配慮した、温かい心づかいを感じました。それにしっかりとつかまりながら、ゆっくりと登っていきます。
やった!頂上は風が気持ちいい!
出発から約2時間半後の午前10時半、山頂に到達。眼下には飯島町内と周辺地域の眺めが。奥には塩見岳や荒川岳・赤石岳など南アルプスの山が連なり、振り向くと先ほど見た南駒ヶ岳がすぐ近くに。てっぺんでは、ふたつのアルプスの絶景が待っていました!

「僕たちが住む町って、緑が多いね!」と話す息子の表情からも、達成感がうかがえます。


汗だくの私たちに、伊藤さんが差し出してくださったのは「クロモジ茶」。町内の道の駅等にて販売しているそうです。


枝・葉を煮出すと、おいしいお茶になるそう。「さっきのいい匂いの木だ!」ハーブの香りとさっぱりとした飲み心地が美味しい!ごくごくと飲み干し、気分もリフレッシュしました。
”僕の小学校がよく見える!”と伊藤さんの望遠鏡をお借りして町内を一望
景色とおいしいお茶を満喫したら、ゆっくりと下山します。復路の途中では、こんなめずらしい生き物にも出会えました。
アサギマダラ 南駒里山クラブ伊藤秀一さんの写真より
”渡りの蝶”として知られる、「アサギマダラ」です。アサギマダラは、青みがかった羽が特徴的で、1,000Km以上も海を越えて旅をする渡り蝶。なんと、今日本にいるアサギマダラは、台湾から飛んできたものだそうです。息子と会えたらいいねと話していたので、疲れも吹き飛ぶ大興奮の瞬間でした。
湧き水が冷たくてきれい!
上りの急坂に比べ、下りのルートは飯島町営業部自然部会を中心に各ボランティア団体の皆さんが手入れをされた遊歩道をゆったりと歩けるコースで安心。こまめな休憩を取りながら落ち着いて下り、12時半、約4時間半のトレッキング終了です!
これから山へ登りたいという方に、伊藤さんからこんなメッセージをいただきました。
「訪れた方に気持ちよく山登りをしていただきたい。私たちのやりがいは、安心できる道づくりや森林の保全活動にあります。クロモジの香りや四季ごとに表情を変える植物にも、注目してみてくださいね。登山と森林セラピー体験を同時に楽しんでもらえる山として、これからも多くの方に親しんでもらえたら嬉しいです」
そして、一緒に登った息子に感想を聞いてみました。

「頂上の眺めがきれいだったから、頑張って登ってよかった!植物の話を聞くのも勉強にもなったよ。”クロモジ茶”がおいしくて、体にいいものだってことがよくわかった。また登りたい!」

山登りは中学生以来の私でしたが、歩きやすい山道のおかげで楽しく往復できました。はじめて登る人にも挑戦しやすいコースでした!
傘山は、傘寿(さんじゅ:80歳)のお祝いに登られることでも有名だそう。また相合傘のイメージから、「山コン」が開催されたことも。大切な人との思い出作りにもおすすめです。

また、伊藤さんのお話によれば小学1、2年生の子や小さなお子さんでも、大人とゆっくり歩けば林道ウォーキングを楽しめるそうです。子どもにとって自然を学べる良い機会になるので、親子でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
傘山
【お問い合わせ先】
・飯島町役場地域創造課 TEL 0265-86-3111
http://www.town.iijima.lg.jp
Eメール chisou@town.iijima.lg.jp
・南駒里山クラブ 代表 堀越寛満さん TEL 080-6812-7531
・いいじま森の会 会長 福田富穂さん TEL 080-4845-9253
【概要】
・町民の森コース(一般者向け)※町民の森まで車で行けます
町民の森→第1展望台→第2展望台→第3展望台→傘山山頂→町民の森
所要時間 登り2時間/下り1.5時間 往復6.2キロ
・御嶽山コース(健脚者向け)※御嶽山登り口まで車で行けます
御嶽山登り口→御嶽山展望台→岩間山城跡→傘山山頂→御嶽山登り口
所要時間 登り3時間/下り2時間
・傘山一巡コース
御嶽山登り口→御嶽山展望台→岩間山城跡→傘山山頂→町民の森

※両方の登山口に車を置いておく等の必要があります。
所要時間 登り3時間/下り1.5時間 逆コースの場合、登り2時間/下り2時間
【料金】
ガイドのご希望があれば、「南駒里山クラブ」、または「いいじま森の会」へお気軽にご相談ください。
【アクセス】※駐車場まで駒ヶ根ICから約25分 松川ICから約20分
【その他】
・熊除けの鈴があると安心です。
・服装は基本的に長袖長ズボン(かぶれ・虫除け)、手袋(枝や葉によるケガ防止)や登山用の靴があると◎。ストックもあれば、さらに楽になるそうです。
・町民の森までの林道の舗装工事のため、9月13日から11月末頃は通行止めの予定(2021年9月現在の情報)。詳しくは飯島町役場へお問い合わせください。
・登頂記念に缶バッジプレゼント
http://go-iijima.nagano.jp/trend/get-karakasayama-can-batch/
みんなの体験記ライター
投稿者気賀澤
年代30代
趣味キャンプ 漫画 ねこ好き
自己紹介新潟県生まれ伊那谷育ち。暖かい季節は、家族で地元のキャンプ場を巡っています。伊那谷の自然は、大人も子どもも楽しめる要素でいっぱい。魅力あふれる私のふるさとをご紹介していけたらと思います。よろしくお願いします!