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歩き応え充分な10kmのロングコース!「入笠山エコ・ジオガイドツアー」体験レポート
夏真っ盛りな8月初旬の週末。伊那市と富士見町にまたがる南アルプス北端の山、入笠山にてトレッキングイベント「入笠山エコ・ジオガイドツアー」が行われました。入笠山といえば、ゴンドラに乗って標高1,780mまでワープでき、湿原に咲き誇る色とりどりの高山植物や山頂からの絶景を楽しめるのが大きな特徴ですが、今回のツアーはひと味違います。このエリアを知り尽くした地元ガイドに案内されて歩いたのは、入笠牧場、テイ沢、大阿原湿原までを含む10㎞のロングコース! さっそく、このバリエーション豊かな行程の詳細をお届けしましょう。
入笠湿原で高山植物を鑑賞しながらのんびりハイク
スタート地点は標高1,780m、富士見パノラマリゾートのゴンドラで向かった「ゴンドラ山頂駅」から。駅に降り立つと朝からの快晴のため、八ヶ岳や諏訪盆地までくっきりと見渡すことができました。高地のさわやかな風を感じ、登山への期待が高まります。



ガイドの梅田克己さんの合図に従って体を軽くほぐしたら、さっそく入笠湿原を目指します。当日は、夫婦や親子で、またはひとりで参加されている方など、さまざまな方がいました。年代も子どもから高齢の方まで幅広く、登山というアクティビティの裾野の広さを実感!
ゴンドラ山頂駅から入笠湿原までは約10分。木道を歩きながら、ピンク、薄紫、白、黄、オレンジと、色鮮やかな花々の鑑賞がゆっくりと楽しめます。私も、つい夢中になって写真を撮りすぎてしまいました。



湿原には、春から秋まで百数十種類もの山野草が咲き誇るそう。8月上旬のこの日には、マツムシソウ、コバギボウシ、オオバセンキュウ、コオニユリなどの高山植物が見られましたよ。
……と、なぜ私がこんなに花の名前を言えるかというと、便利なガイドBOOKがあったから。ゴンドラを利用した人には、入笠山周辺地図・高山植物図鑑・歴史スポットなどの情報が凝縮された「散策ガイドBOOK」が無料で配布されます。とくに高山植物図鑑は、色別にお花の種類が分類されていて、気になるお花があったらすぐに探し当てることができるというすぐれもの! 高山植物の散策が、よりいっそう楽しくなること間違いなしです。
太古のロマンとプチアドベンチャーを満喫!
入笠湿原の散策を堪能したあと、私たちは黒河内林道を通って入笠牧場へ向かいました。入笠牧場は、ミュージックビデオなどのロケ地にも使われているという、隠れたビュースポット。草原の向こう側にアルプスの山々がそびえる、牧歌的な風景が広がっています。
約10分ほどで牧場に到着。草原の上でのんびりと草を食む牛たちを横目に進むと、道の両脇にカラマツが立ち並ぶ道に出ました。カラマツには、地衣類のサルオガセがびっしりと垂れ下がっていて、とても幻想的な光景。たびたび足を止めて写真を撮りながら、こもれびのなか緩やかな坂道を下っていきます。
入笠牧場からさらに40分ほど歩いたところで、小黒川とテイ沢が合流する地点にある戸台層小黒川露頭に着きました。



ガイドの梅田さんによると、ここはなんと、約1億2千万年前の海底の堆積物を含む地層がある場所。三角貝の化石なども発見されているそうです。一見するとなんの変哲もない岩の壁なので、説明がなければ素通りしていたかも……。改めて、「ガイドツアー」の魅力を実感です。
テイ沢や大阿原湿原へと続く道は、露頭のすぐ近くから伸びています。ここからは、うっそうとした森に囲まれた沢沿いの道。真夏でしたが、クーラーがしっかりと効いた室内にいるような涼しさがあり、最高に心地よかったです。絶えず聞こえる水のせせらぎに、耳の奥までたっぷり癒されました。
癒される反面、“めおと岩”と呼ばれる背丈の倍はありそうな巨石の横をすり抜けたり、沢に架かった細い丸太の橋を恐る恐る渡ったりと、ちょっとしたアドベンチャー気分も味わいながら、テイ沢の源流にあたる大阿原湿原へと進みます。
高層湿原で、ふたたび開放感を味わう
沢沿いの道を登り詰めること約40分。大阿原湿原に着くと景色がガラリと変わり、ふたたび木道と広い空、青々とした草の絨毯が目の前に現れます。途中の広場にあったベンチに腰掛けてお昼休憩。秋になったら、一面に広がる草紅葉を見られるのかしら……。そんなことを考えながら、持参したお昼ごはんを食べました。
休憩が終わったら、いよいよ長い山旅も終盤に突入です。大阿原湿原から20分ほど歩いて、首切登山口へ。ここから、入笠山の山頂へ一気に登ります。

これまでの道と比べたら少しだけ斜面が急ですが、30分くらいかけてゆっくり登れば、あっという間に到着!
標高が2,000m近い入笠山の山頂は360度視界が開けていて、八ヶ岳、富士山、南アルプス、中央アルプス、御嶽山に北アルプスと、中部の主要な山々を一望できます。旅の最後のごほうびとして、このうえないロケーションでした。
湿原まで降りてきたら、山彦荘にて散策ガイドブックに登頂の証明印を押して終了。湿原、牧場、地層、清流、山頂と、次々と移り変わる景色のなか歩いた長い山旅を、達成感とともに終えることができました。
証明印は「散策ガイドブック」の裏側に
入笠山は、これまでも何度か歩いたことがあったのですが、「入笠山エコ・ジオガイドツアー」イベントへ参加できたおかげで、いくつもの知らない景色に出合えて新鮮な気分を味わえました。季節を変えて、山仲間を誘って、また歩きに来たいと思います。

入笠山
伊那市商工観光部 高遠商工観光課
TEL:0265-94-2556
URL:http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/hokubu_zenei/

 irikasayama/nyukasayama.html 

*入笠山エコ・ジオガイドツアーは不定期に開催

*令和2年8月に制作し、令和5年8月に一部内容の見直しをしたものです。
みんなの体験記ライター
投稿者松元麻希
年代30代
趣味スキー、ハイキング、パン屋めぐり
自己紹介スキー好きが高じて長野県松本市へ移住。2019年に伊那市地域おこし協力隊になり伊那谷へ。アウトドアアクティビティ全般が好きなので、伊那谷のフィールドとしての魅力を中心に発信していきたいです。