みんなの体験記
Blog
  • トップ
  • みんなの体験記
  • リニューアルオープン、見学も可能! ウイスキー造りの「理想の地」 マルス信州蒸溜所(長野県宮田村)
リニューアルオープン、見学も可能! ウイスキー造りの「理想の地」 マルス信州蒸溜所(長野県宮田村)
本坊酒造㈱マルス信州蒸溜所
ウイスキーを造るために重要な厳しい自然条件。それは澄んだ空気の寒冷地であり、しかも適度な湿度と良質な水に恵まれていること。そんな好条件である中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mにある「マルス信州蒸溜所」を訪ねました。
見学コースがひとつの建物に集約
「駒ヶ岳」や「越百」など、名だたるウイスキーの蒸留のほか、ワインや梅酒などの生産でも知られる「マルス信州蒸溜所」。ウイスキーの蒸留設備や原酒の貯蔵庫が2020年9月に新築され、同時に見学コースもリニューアルされました。
入口には「初代岩井式蒸留釜ポットスチル」が飾られています。※現在使われているポットスチルの基になったもの
ビジター棟で見学の受け付けを済ませたら、ウイスキーの蒸留設備や原酒の貯蔵庫がある建物へ。リニューアル後の見学コースは、全ての製造工程がひとつの建物内に集約されており、空調のよく効いたきれいな部屋の中でガラス越しにウイスキーが育まれるさまを見ることができます。

建物に入ると、ウイスキーの濃い香りが広がっていました。すぐ目の前にポットスチルと呼ばれる大きな蒸留器がありました。大きな蒸留器はさすがの迫力。ここだけはガラス越しでなく直接目にすることができる、見学のクライマックスの一つです。

 2階にのぼり、フロアから下をのぞくように見学すると、1階にいたときよりもウイスキーの香りがより濃く感じました。

 蒸留器を背中にし、見学用の部屋へ入ります。製造工程の説明パネルが窓ごとに置かれているので、一人で見学していても理解できるようになっていました。
ビジター棟とウイスキーの蒸留設備の建物の間にある原酒の貯蔵庫
蒸留設備のある建物内でも貯蔵庫の一部が見られる
蒸留の様子を見学したい場合は午前中に行くのがおすすめ
窓ごとに製造工程が分かれており、説明パネルもあるのでわかりやすい
「発酵」の工程。約4日間発酵する
アルコール度数は、じつに約70パーセント。香りだけで酔ってしまいそうです。

 意外だったのは、原酒の色が琥珀色ではなく、無色透明だったこと。じつは、ウイスキーも最初は無色なのだそう。樽の中で長い時間熟成させることで香りや色が付くと知り、驚きました。
スタッフはお酒の有資格者ぞろい !知らなかった発見がたくさん
見学のあとのお楽しみ、ビジター棟はショップ併設のバーとなっており、入って右側がお土産などを購入できるショップ、左側がバーという作りになっています。

 バーには薪ストーブや、ゆったり座れるロッキングチェアもあり、くつろげる空間になっていました。
入り口の左手にあるバー
マルスウイスキーや南信州ビールの有料試飲ができる
薪ストーブの火に癒される
あまりの暖かさに薪ストーブの前から動けなくなっていると、マルス信州蒸溜所のディスティラリーショップ係長の冨迫英昭さんがバーとショップを案内してくださいました。冨迫さんは日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ウイスキー文化研究所認定のウイスキーエキスパート(WE)の資格をお持ちです。
バーと同じように高級感のある制服を着こなす冨迫さん
カウンターから窓際に向かって位置が低くなるよう配置されたテーブル
「ここの内装は、バーの雰囲気と、高原リゾートのカフェをイメージしていて、二つを融合した作りにしたんです。カフェが近場にないので、バーもカフェも楽しめるように意図的に作りました」

冨迫さんにそう教えていただき、店内を見渡してみると、たしかにカウンター側はバーの雰囲気がありますが、窓際の席に移るにつれてテーブルの位置が低くなり、カフェにいるような感覚になりました。

 店内をぐるっと見渡していると、薪ストーブ脇の本棚にウイスキーなどお酒に関する本が並ぶ中、普通のバーには無いはずの子ども向けの絵本が数冊ありました。

「このバーには、子どもにも来てほしいと思っているんです。子どもって基本、騒ぐでしょ?でも時と場合によっては、おとなしくしていないといけない時もある。そういうのを感じられる場所があったらいいなって。街中のバーなどは敷居が高いと思う方もいらっしゃると思います。ここのスタッフはお酒に詳しいですから、ぜひ話しかけてみてください。お酒の知識を入れてからバーに行ってみると楽しいと思いますよ。」

こちらの店内で勤務するスタッフのほとんどの方がお酒に関する有資格者だそうです。普段お酒について今さら聞けないことなど、思い切って質問してみると新しい発見があるかもしれません。

最後に、冨迫さんにおすすめの自社製品を聞いてみました。

「もちろん、すべておすすめです。というのも、お酒って食べるものによって合うものが変わるんですよね。その土地の水で造ったお酒と、その土地の食べ物が最高に合うんです。」
穴場的お楽しみは「ブレンドコーヒー」。ぜひお試しを
 お酒を製造する工場見学ですから、試飲も楽しみのひとつです。けれど、ドライバーの方やお酒が飲めない方にも楽しみがほしいもの。そこでビジター棟のバーには、ソフトドリンクと南信州ビールのノンアルコールビールも用意されています。

そして注目したいのは、バレルエイジドコーヒーの存在です。バレルエイジドコーヒーとは、ウイスキーの熟成に使用した樽で豆を熟成させたもの。マルス信州蒸溜所で飲めるコーヒーは、恵比寿の人気珈琲店「猿田彦珈琲」が「マルスウイスキー駒ヶ岳」の熟成に使用した樽を使って造ったコーヒーです。ひと口飲むと、コーヒーの香りの奥に、ほのかにウイスキーの香りがわかります。

お酒が飲めない方でも、マルスウイスキーを感じることができる、このコーヒー。ここでぜひ、楽しんでいただきたい一品です。コーヒー豆は、ショップで購入することができます。
限定品やオリジナルグッズのTシャツなども販売されている
(2021年1月撮影)
酸化を防ぐため、コーヒー豆の状態で販売されています
美しい環境で育まれるお酒と、そこに携わる人々の誇りと熱が伝わる、「マルス信州蒸溜所」。室内施設のため、天候を問わずゆっくりと過ごすことができる、伊那谷の憩いの場の一つです。ちょっと大人な旅の目的地の一つとして、ぜひ訪れてください。



本坊酒造㈱ マルス信州蒸溜所
〒399-4301長野県上伊那郡宮田村4752-31
TEL:0265-85-4633(代表)0265-85-0017(SHOP直通) FAX:0265-85-0018
HP:https://www.hombo.co.jp/factory/shinshu.html
営業時間:9:00~16:00(Bar、見学受付15:30迄)
電話受付:9:00-17:00
※9名以下のお客様のみ受入
休館日:12/29-1/3※臨時休業あり
入館:無料(試飲は全て有料)
売店:有り(Bar&Shop)
見学時間:蒸溜所(自由見学:約15分)
ビジター棟:(有料試飲や売店):約30分
駐車場:無料
詳細についてはHPまたは蒸溜所へお問い合わせください。*本記事は、令和3年1月に制作し、令和5年9月に内容の見直しをしたものです。
みんなの体験記ライター
投稿者山岸
年代30代
趣味本を読む・映画を見る・推しを推す
自己紹介高校卒業後、すぐに上京。「夢を追うのは東京、現実を生きるのは地元」。結婚を機にUターン。子育て奮闘中。子育てに優しい社会作りに貢献したい。子育てママやパパを応援したい。