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地域の人と人をつなぐスイーツ「大芝高原のおもてなしプリン」
2018年夏、「道の駅 大芝高原(長野県南箕輪村)」のグランドオープンとともに誕生した「大芝高原のおもてなしプリン」。地元の食材を使った新鮮で濃厚なプリンは、販売開始とともに話題となり、多くのファンを惹きつけています。地域の人と人を繋ぐ役割を果たしている点も、このプリンのおもしろいところ。味の特徴とともに、その具体的な取り組みについても掘り下げてご紹介しましょう。
口当たりなめらかでコク深い2層のカスタードプリン
大芝高原のおもてなしプリン。シンプルな味付けなので、卵と牛乳の風味をダイレクトに感じられる。
 「道の駅 大芝高原」の目玉商品として着実に認知度を上げているのが、今回取り上げる『大芝高原のおもてなしプリン』(以下、おもてなしプリン)。マスメディアにも何度も取り上げられ、目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

道の駅内の販売所の一つである「大芝高原 味工房」の店頭で見て、まず驚くのは、プリンの味の豊富なバリエーション。冷蔵ショーケースには、常時10種類以上ものプリンが並んでいます。

 一番人気は、緑色の包装紙が目印のプレーンな『おもてなしプリン」。ポテっと丸みを帯びたガラス瓶のなかに、白と黄色の二層を成すプリン生地が詰め込まれていて、その下に薄くカラメルが敷かれています。
大芝高原「味工房」の冷蔵ショーケース。もっとも品揃えが豊富なのは、土曜の午前中だそう。
蓋を開けると、バニラビーンズが混ざったプリン生地が目に飛び込み、食欲を誘う。
最初に鼻孔を通り抜けるのは、バニラビーンズのほのかな甘い香り。スプーンですくい口に入れると、そのなめらかな口当たりとともに、上段の白い生地からは確かな甘味とコクが、下段の黄みがかった生地からは卵と牛乳の風味が感じられます。底にあるカラメルといっしょに食べれば、香ばしさと甘味がさらにアップ。一口ごとに味の変化を楽しめるのが、この『おもてなしプリン』なのです。
プリンで地域の生産者と消費者をつなぐ
大芝高原の東側に広がる牧草地。上伊那では、広大な土地を活かした酪農が営まれている。
『おもてなしプリン』は、濃厚ながら後味がすっきりとしているのが特徴のひとつ。その後味の秘密は、伊那谷産の新鮮な食材が使われていることにあります。

プリンに必要な材料といえば、卵と牛乳。『おもてなしプリン』には、伊那市手良にある大原農園産の「さくらたまご」と、上伊那の若手酪農家たちによる「酪農家のおもてなし牛乳」が使われています。どちらも、伊那谷の豊かな自然のなかで、手をかけて育てられたもの。なにより鮮度がよいため、プリンにさわやかな後味をもたらしています。

2019年2月、『おもてなしプリン』は、酪農生産者が委員を務める「おもてなし牛乳認定委員会」により認定商品の第一号として登録されました。プリンの認知度が上がれば、おもてなし牛乳の認知度も自ずと上がります。おいしいプリンを消費者に届けることで、地域で奮闘する生産者のPRにも貢献しているという点が、このプリンのすごいところなのです。
味工房の農産物直売コーナーでも購入可能な、「酪農家のおもてなし牛乳」。自給飼料で育てられた牛の生乳をふんだんに使用した、風味豊かな牛乳だ。
手作りの餌を使って国産鶏を育てている、大原農園の「さくらたまご」。濃厚でフレッシュな味に定評があり、県外にもファンが多い。
怒濤のコラボレーションで、多様な事業者をつなぐ
2019年10月に開催されたプリンフェスでは、上伊那8市町村11店舗のプリンが大集合。悪天にも関わらず、1時間弱で1000個を完売するという大盛況だったそう。
『おもてなしプリン』は、販売を開始した2018年夏以来、伊那谷の生産者や飲食事業者、スポーツチームなどと積極的にコラボレーションをし、多様な種類のプリンを開発してきました。そのコラボレーションの数、じつに20回!(2022年2月現在) さらに進んでいる新たなプロジェクトもいくつかあるそうで、今後の動きからも目が離せません。

商品開発を含むこれらのプロジェクトの仕掛け人である道の駅大芝高原の副支配人、原賢三郎さんはこう語ります。

「最初は南箕輪村の生産者との取り組みから始まったのですが、村外の事業者にアポなしで依頼してコラボレーションを実現させたり、プリンフェスを開催したりしていくなかで、結果、上伊那の多くの事業者と連携できるようになりました。うちのプリンは、縁をむすぶプリンなんです」

ここで、『おもてなしプリン』の“縁むすび”の歴史を振り返ってみましょう。

~「大芝高原 おもてなしプリン」コラボレーションの歴史~

2018年
【1】VC長野トライデンツ応援ラベルプリン
南箕輪村を拠点に活動する男子バレーボールチーム「VC長野トライデンツ」とのコラボレーション第一弾。『おもてなしプリン』に特製の応援ラベルを付けて、開幕から毎試合、体育館にて販売。

【2】いちごプリン
南箕輪村産の夏秋いちご「ゆめごこち」を使ったソース付き。いちごの旬に販売される季節限定販売。

2019年
【3】甘糀プリン
老舗酒蔵「仙醸」(伊那市)の甘糀(甘酒)を使用。プリンに合わせた糀を特注しているのがポイント。

【4】ベリープリン
大和屋農園(南箕輪村)のブルーベリーを使ったソース付き。農薬を削減して栽培された完熟ブルーベリーから、一粒ずつ選定して使うというこだわり。夏限定販売。

【5】グロッテプリン
「VC長野トライデンツ」とのコラボレーション第二弾。『おもてなしプリン』に、トライデンツのマスコットキャラクター・グロッテのイラストが入った掛け紙を付けている。

【6】高遠焼プリン
大芝高原おもてなしプリンを、伊那市高遠の伝統陶芸「高遠焼」で作ったプリン専用の器に入れて販売。ギフト用として人気が高い。

【7】パープルプリン
南箕輪村産「ナガノパープル」を使用。糖度21度の超貴重なナガノパープルを使っていて、収穫期の10月中のみ製造・販売される。売り切れ必至の人気商品。

【8】南信州りんごプリン
長野県上伊那産のりんご「ふじ」入りのコンポートを使用。

【9】ほうじ茶プリン
お茶屋「いちえ」(伊那市)が焙煎した、「高遠棒ほうじ茶」を使用。プリンに合わせてさらに深煎りに焙煎されたほうじ茶を混ぜ合わせて、ほろ苦さと甘さの絶妙なバランスを実現。

【10】ネラの白い卵プリン
オランダ原産の珍しい黒鶏「ネラ」。本品では伊那市西箕輪で養鶏されているネラの、白い卵を使用。黄身が白いため、真っ白なプリンになる。クリスマスシーズンの限定販売。

2020年
【11】いなよう和紙のおもてなしプリン
「VC長野トライデンツ」との縁で生まれた、伊那養護学校とのコラボレーション。伊那養護学校の生徒といっしょに紙漉きで作った掛け紙を、大芝高原おもてなしプリンに付けて販売。

【12】ときわの命水シリーズ①焙煎珈琲プリン
塩尻市にある人気自家焙煎コーヒー店「三澤珈琲」監修のコーヒーゼリー入り。ゼリーには、長野県伊那市の天然水「ときわの命水」の濃縮水が使われている。

【13】ときわの命水シリーズ②経ヶ岳ブループリン
りんごのコンポートを鮮やかなブルーに色付けしたゼリー入り。ゼリーには、「ときわの命水」の濃縮水が使われている。夏限定販売。

【14】ときわの命水シリーズ③生いちごプリン
香り豊かな「夏秋いちご」の果肉がたっぷり。新鮮ないちごが入ったときにだけ製造・販売されるレア商品。賞味期限は15時間。

【15】フラワープリン
箕輪町にあるハーブと西洋野菜の店「ナチュラルセンス」のエディブルフラワー(食用花)を使用。

【16】ミルクあんこプリン
伊那市の老舗菓子店「亀まん」のあんこと、下伊那郡大鹿村の水からとれる希少な「山塩」を使った羊羹入り。

2021年
【17】ポテトザキプリン
VC長野トライデンツ・戸嵜嵩大選手とのコラボレーション。糖度の高い箕輪町産のさつまいも「シルクスイート」を使用。

【18】山塩キャラメルプリン
希少な大鹿村の塩「山塩」を使った、道の駅大芝高原特製のキャラメルソース付き。

【19】木炭黒豆プリン
上伊那産の食べられる炭「赤松妙炭」と南箕輪村産の黒豆を使用。いずれも体内を整えてくれる栄養素があり、健康志向の高い人に人気。

【20】豆乳ハニープリン
信州産大豆を100%した豆腐づくりが好評の「宮田とうふ工房」(上伊那郡宮田村)の豆乳と、「有賀はちみつ屋」(辰野町)のハチミツを使ったソース付き。
大芝高原の味工房内に飾られている、プリンの空き瓶を使って作られた「希望タワー」。瓶のひとつひとつに、アートが描かれ、ライトアップされている。
プリンのつながりが生み出す、新しい味に出合おう
プリン専用の箱もあり、旅のお土産や特別な日のプレゼントにも最適。
販売開始から1年間で2万個を売り、4年も経たないうちに20以上のコラボ商品を輩出してきた『おもてなしプリン』。ひと口食べれば、おいしいという感情とともに、伊那谷の生産者や事業者たちの顔が浮かび上がります。プリンが繋ぐさまざまな縁が私たちに新しい風味をもたらしてくれるのも、うれしいところです。

仕掛け人の原さんいわく、今後も積極的に上伊那の他事業者とのコラボレーションを展開していく予定とのこと。商品は大芝高原味工房内の直売所や隣接する温泉施設「大芝の湯」で購入可能なほか、ネットショップでも購入可能です(https://ooshibakogen-opurin.com )。旅の途中でもお家でも、ぜひ進化し続ける味と、変わらないおいしさの両方を感じてみてください。
道の駅 大芝高原
上伊那郡南箕輪村2358-5
http://oshiba.jp/
【大芝高原 味工房営業時間】9:30~18:00
【定休日】4月~11月  第1・3・5の木曜日 12月~3月(冬期) 毎週木曜日
TEL 0265-76-0054