#22 氷のきらめきダンス(大宮のぞみ)
            
           
       
                                                          
                                  伊那谷は高い山に守られて
雪はそんなに降らないけれど
高い標高で澄んだ空気は
芯まできんと冷える
耳あてとマフラーを掴んで
薄暗い朝、外に出てみれば
そこは青白い世界
耳の奥までしんとしずまり
聞こえるのは自分の吐息と足音のみ
白くなった息が目の前を流れていく
わたしは木々とダンスを踊る
葉のない木々は
足下まで枝を垂らして
凍った枝でゆらゆら踊る
それはあの有名なダンス
うすいこすりガラスのような氷を割り
霜柱をザクザクと踏んで
私も踊る
その瞬間
スポットライトのように朝日がさして
道が、土が、氷が
きらきらときらめくのでした
               
                                                          
                                  大宮のぞみ
イラストレーター 
長野県駒ヶ根市生まれ
外国語大学スペイン語学科卒、
マドリード留学を経て
2011年に駒ヶ根市にUターン。
2人の子供を育てながら
伊那谷の美しさに囲まれて日々を暮らしています