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「アカマツグルメ旅」~長野伊那谷・サイクルツーリズムプロジェクト
きっかけ=アカマツのピンチ。E-バイクで巡り、味わいながら、深く知る旅に
伊那谷全域で目にすることができるマツ科マツ属の常緑針葉樹・アカマツ。
まっすぐ伸びる幹に赤みを帯びた肌、細く伸びる葉も特徴のこの木を、伊那谷の山や森で見たことがある人も多いはずです。

その幹は住宅や学校をつくる材となり、枝や葉、まつぼっくりは焚き付けや、焼酎漬けほか食材としても活用。
さらに根元は、言わずと知れた秋の高級食材・マツタケの生育場所となるなど、アカマツは伊那谷に暮らす人々に「捨てるところなし」以上の豊かさをもたらしてきました。

自生しているアカマツもあるが、多くは人々の手によって植樹されてきた
そんなアカマツがいま、深刻な危機にさらされています。

カミキリムシの一種「マツノマダラカマキリ」を媒介にして広がる線虫「マツノザイセンチュウ」が引き起こす、松の枯死=通称「松枯れ」。長野県では1981年にはじめてその被害が確認されて以来、その被害が止まることはありません。

「松枯れの被害によって、多くのアカマツの森が危機的状況にあるからこそ、楽しみながらアカマツのもつ底知れぬパワーを伝えたい。そして、もう一度アカマツの価値が注目されるきっかけとなれば──。」

そんな、二人の女性ガイドの想いから誕生したサイクルツアーが「きっと、また食べたくなる。アカマツグルメ。」です。
心地よい風が吹く、アカマツの森を走る
みどころ1=環境学習にグルメ、セラピーまで。発見がいっぱい、E-バイクならではの欲張りコース
本ツアーの所要時間は、約6時間。自転車でアカマツ林を走るだけでなく、地域のアカマツにまつわるスポットにたくさん立ち寄るのも大きな特徴です。

・アカマツを木材に変える「製材所」を見学

・アカマツを食材として生かしたメニューを提供するカフェや食堂、ブルワリーで実食&休憩

・アカマツの森でセラピーウオーク&お土産を自分でつくるミニワークショップ


などなど、地元の方との触れ合いやアカマツグルメも楽しめる、盛りだくさんの内容。
けれど、「初心者だけれど、こんなに走れる?」との心配はご無用。
本ツアーにて使用する自転車は、坂道も安心のE-バイクだから、高低差の多い伊那谷でも電動アシストでスイスイ登り降りできます。※

「自転車を降りる時間をたくさん用意して、サイクルツアー初心者や体力に自信のない方にも安心のコースにしました」とは、ガイドのひとり太田清美さん。
ガイドの的確なナビゲートで、車通りが少なく自転車旅にぴったりの道を通れる安心感もツアーならではの魅力です。

※ 希望により、アシストなしの自転車でのツアーも可能です
スタートから10分程度で到着する「有賀製材所」では、実際の木材を見ながら地域材を生かす想いに触れて
In a daze Brewing冨成和枝さんによるアカマツトーク
伊那谷のアカマツの葉と、青松ぼっくりを使用した、In a daze Brewing「森の座ペールエール」。杏のようなみずみずしい酸味と鼻を抜ける松の香りが特徴
次世代クラフトビールを担う注目のブルワー・冨成和枝さんが代表を務める「In a daze Brewing(イナデイズブリューイング)」は、森林の整備や森とのつながりを深める啓発活動を行う伊那市のNPO法人「森の座」の取り組みに共感。伊那谷のアカマツを使用したペールエール「森の座」を開発したそう。本ツアーでは手土産に含まれる予定です。
絶景の立ち寄りスポット「菓子庵石川アルプスファクトリー」では、伊那谷のアカマツを原料にした「伊那赤松妙炭®️」をトッピングした「お多福万十炭ソフト」を堪能。特許取得済の酸性活性炭にはデトックス効果があるのだとか
老舗和菓子店のひとつ「増田屋製菓」の人気商品「かりんとう饅頭(通称:カリマン)」にアカマツの炭を練り込んだ「ブラックカリマン」や、うどんに炭を加えた「黒いうどん」など、アカマツの炭グルメが目白押し
みどころ2=伊那谷といえば絶景! 山に街に森に、スペシャルな景色を大満喫
二つのアルプスに抱かれた伊那谷を走る楽しみといえば、なんといっても絶景! 2000~3000メートル級のアルプスを眺め、一級河川・天竜川のせせらぎを感じるコースでは、伊那谷のスケール感を存分に味わっていただけるはずです。

さらにもう一つ、本ツアーの隠れた目玉が「いなまちサイクリング」。

昭和レトロを感じる伊那市街の細い路地をゆっくりと走る時間もあり、車の旅では気づくことのできない旅情をたっぷりと感じられます。
中央アルプスを眺めながら、田んぼのなかを疾走する爽快感は格別!
天竜川の河川敷で、自然と暮らしが共存する風景に出会う
昭和を感じる「いなまち」の細道は、伊那谷のもう一つの絶景
みどころ3=最後は自転車を降りて、アカマツの現状に触れる、味わう
そして最後は、ツアーのスタート地点である「大芝高原」に戻り、自転車を降りてアカマツの森へ。
ここにはアカマツの平地林が広がり、安心して森林浴を楽しめる伊那谷の森林セラピー拠点としても知られています。

一年を通して心地よい空気に包まれたアカマツの森ですが、よく見るとここにも「松枯れ病」の被害を受けている松が。伊那谷の森に詳しいサイクルガイドがわかりやすく、その見分け方をレクチャーします。

多くの店舗で活用され、地域ぐるみでその文化を継承しようとしているアカマツの現状を目の当たりにし、本ツアーのストーリーが一本につながる瞬間です。
自転車を降りて、森を感じる「セラピーウオーク」
ガイドが実際の木を前に「松枯れ病」の症状の見分け方を解説
そしてこの場所で最後に登場するのが、「In a daze Brewing」のクラフトビールの名にもなっていた、NPO法人「森の座」さん。
根本から葉の先まで、一本丸ごと余すことなく活用されてきたアカマツの価値や、世界での利用法(フランスではマツヤニが喘息の薬となったり、ロシアでは松の実のジャムが愛食されているのだとか)について、わかりやすくご紹介いただきました。
「森の座」オススメドリンク「松葉ジュース」を試飲。松葉の青くさわやかな香りが鼻を抜けて
最後には、記念品としてアカマツのウッドチャームづくり。気に入った形のパーツを紙やすりですべすべに磨き上げ、好みの色のコードを通して完成!ツアーもこれにて終了です。
愛らしいパーツから好みを選んで
大芝高原の森の歴史とこれからについてのお話しも
ツアーガイドからのメッセージ
有賀彩さん

今の暮らしも好き、古き良きことも好き、知ることが好き、どこかへ行くことが好き、健康でいたい、ちょっとだけなら頑張ってもいい、美味しいものも食べたい、そんな欲張りな私たちが作ったツアーは、アカマツだけでなく、伊那谷の色んな魅力に出会えるはずです。

無理せず楽しめるだけではなく、ゴールした後は、新しいことを知ったり、頑張った自分が、ちょっと成長したような達成感も感じられるのではないでしょうか。

自分の大切なものや新しい興味を感じる機会にもなるかも知れません。
乗り出しに不安がないよう、事前に高さなど調整して安全確保に努めます
太田清美さん

今回は私たちの「好き」と、アカマツへの想いをぎゅっとつめこんだ、欲張りなコースができました。盛りだくさんの内容ですが、E-バイクの力を借りることで、体力に自信のない方でも楽しんでいただけるコースになっていると思います。

大芝高原では、少しずつ樹種を移行させる計画が進んでいて、森の景色もこれから変化していくはずです。それでも、伊那谷の森や、伊那谷の景色のなかで、アカマツという存在は外すことのできない大切なものです。

このツアーが終わったあとも、アカマツグルメのおいしさを思い出しながら、伊那谷の自然への目線がふと、変わるような体験にしていただけたらと願っています。私たちといっしょに楽しく走りましょう!
事前に運転ルールを説明したうえで、ガイドがたのしくしっかり誘導します。
伊那谷サイクルツーリズム推進チーム
代表 小口良平(自転車冒険家)さん


女性らしい視点で、優しい空気を感じて走れることが魅力的。
100%、本当に好きなものしか、本気で伝えられません。
きちんとストーリーをならべ、自転車ツアーではなくてはならい要素が散りばめられています。

地域への愛も深まり、また地域のグルメでお腹いっぱいになります。
女性には嬉しい条件ばかり。
忙しい日々に癒やされたい方におすすめです。
女性ガイドには、コミュニケーションの取り方も徹底して学んでいます。
体験会で事業概要を説明する小口氏

ガイド付き自転車ツアーフォトアルバム「アカマツ編」 / Google Photos








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