特集
Special
「天下第一の桜」高遠城址公園
何度見ても飽きない「みごとな桜」
ⓒ伊那市観光協会
伊那谷の「桜」を名実ともに代表するのは伊那市高遠町にある高遠城址公園です。明治の廃藩置県の際に取り壊された旧高遠城の城跡一帯に1500本もの桜の木が植えられており、城跡を覆いつくすように桜の花が咲き乱れます。花見の時期には、全国津々浦々から20万人もの観桜客が訪れます。
城跡に入ってすぐ目にするのは「天下第一桜」と書かれた石碑。自らこのような宣言をするのも珍しいことかもしれませんが、地元の人々の自信と期待の程がうかがい知れる、どこか頼もしい石碑です。
品種は、タカトオコヒガンサクラという固定種。全国的に多く見られるソメイヨシノに比べて、少し小ぶりですが赤みの強い花が咲きます。昭和35年には長野県の天然記念物に指定されています。園地内は桜の天井がずっと続くような状態で、少し離れた高遠の城下町から遠目に眺めても、園地の中で上を見上げても、本当に「みごとな桜」です。必見!一度ならず二度・三度見ても飽きない「天下第一桜」です。
ぐるっと公園巡り―北ゲート・正面入口より
ⓒ伊那市観光協会
正面入口にあたる北ゲートを入ると左側に、公園事務所が入る高遠閣の建物があります。この建物は登録有形文化財。昭和11年に地元出身の文化人・経済人らが資金を募り、地元民の交流と観光客の休憩用に設置したもので、当時(昭和初期)から「桜の高遠」が有名だったことが伺われます。ゲートから入る前から、もう、あたり一面が桜の花だらけです。高遠閣を左手に見て少し進むと、先ほどの「天下第一桜」の石碑が鎮座しています。
桜の天井を見上げ、感嘆しながら右方向に進むと、桜の写真スポットとして有名な桜雲橋。堀を渡る橋の上方はもちろん、下方にも桜の花が咲いており、名前の通り、桜の雲の中に架かった橋のような趣です。
満開の桜に潜む歴史ロマン
橋を渡り、門をくぐって少し進むとそこは本丸。手入れの行き届いた公園で、案内板や解説板などを見ながら歩けば、満開の桜の中に、かつてここを舞台に活躍した歴史上の人物たちの雄姿がまぶたに浮かび上がってくるかのようです。戦国時代に武田信玄の下で、この城の設計・施工の指示をした(古い言い方で言うと「縄張り」した)山本勘助。その後、織田信長の長男・信忠がこの城を攻めてきた際に死闘を演じた仁科信盛。江戸幕府の第3代将軍徳川家光の弟君で、後に創成期の幕府を支えた名君と評されることになる高遠藩主保科正之公。そして、江戸時代に歌舞伎役者との叶わぬ恋に落ち、大奥を追われてこの地に流された悲恋のヒロイン・江島……。様々な歴史物語がこの城の桜には秘められています。
中央アルプスの眺望、桜ライトアップ
ⓒ伊那市観光協会
順路に沿ってさらに進むと、高遠城址の石垣の上から中央アルプスを一望できる絶景スポットに出ます。もちろん、ここはインスタ・タイム。復元された太鼓櫓に登るとさらに広い視野で一帯が望めます。 その後、水がたまった堀に写る桜や、時期によっては水面を覆う花びらなどを見ながら、ゆっくり回って1~2時間程度です。
夜には、桜のライトアップやプロジェクションマッピング、地域に伝わる芸能・高遠囃子の巡行などもあったりするので、これらもお見逃しなく。また、5年に一度くらいの頻度で起きる花見の降雪も、実は、赤みの濃い桜に白い雪が積もる素晴らしい風景。桜を守る「桜守」の皆さんのご苦労には頭が下がりますが、こんな日も実はしっかり楽しめてしまうのが高遠の桜なのです。
城跡に旧藩士が植樹、「桜守」が守る
旧高遠城の城跡に桜が植えられたのは明治に入ってすぐのこと。明治4年(1871年)の廃藩置県で旧藩体制が廃止になり、明治6年(1873年)にはいわゆる「城郭取壊令」によって、全国各地の城が取り壊されました。旧高遠城もこの時取り壊されました。
高遠藩は、先の述べた藩主保科正之公によってその初期の体制が整えられたのですが、この保科正之公はその後会津藩に移り、それから約250年後、明治維新・戊辰戦争で政府軍に徹底抗戦をした会津藩の精神的拠支柱となった「会津家訓15カ条」を定めたその人なのでした。このような徳川幕藩体制の精神的拠り所につながる城を早々に取り壊してしまう必要が新政府側にはあったに違いないと、地元の歴史研究家は指摘しています。
こうして旧高遠城は取り壊され、その後数年間は荒地となって放置されていました。旧高遠藩士の有志がこれを偲び難く思い、わずかに残されていたタカトウコヒガンザクラを城跡に移植して育て、現在の高遠城址公園の「桜」へとつながってきたのです。現在1500本ある桜の木の中で、130年以上の老木が約20本程度残されており、それは旧藩士たちが、植樹したものと伝わっています。
この植樹以降、高遠の桜は営々として地域の人々の手で守り続けられて来ました。現在では、高遠町地区だけでなく伊那市の全域に広がり、「桜守」という伊那市振興公社の職員の方々を先頭にして、地域のボランティアベースの「地域桜守」の皆さんが活躍されています。
ちょっと寄り道 せっかく高遠に来たのだから……
せっかく高遠の桜を見に来たのだから、桜を見ただけで帰ったのではもったいない。高遠城址公園から徒歩でも行ける信州高遠美術館や高遠歴史博物館、かつての藩校だった進徳館なども併せて訪ねるのがお勧めです。城址公園の桜の時期に少しずれてしまいそうな場合には、枝垂桜や山桜を中心にして観桜期が長い高遠花の丘公園もみごとです。
また、高遠の城下町も古くから整備が進められており、山岳を背景に美しい街並みが楽しめます。軒を並べる「高遠饅頭」「高遠そば」を食べ歩くのもお勧め。地元伊那谷の酒を五平餅や山菜などの郷土食と共に味わうこともできます。南アルプスに山懐にいだかれた桜の城下町を存分にお楽しみください。
■入園料
・開花宣言の翌日から桜の散り終わりまでの期間
 個人          大人500円  小人250円
 団体(30人以上)   大人400円  小人200円
■駐車場
 有料駐車場(公園近く) 400台
 無料駐車場       2,500台
■お問い合わせ
・伊那市役所高遠町総合支所
 住所:長野県伊那市高遠町西高遠810-1
 電話:0265-94-2551
・一般社団法人 伊那市観光協会(伊那市役所観光課内)
住所:長野県伊那市下新田3050
電話:0265-78-4111
関連
観光スポット