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#6 2つのアルプス(清沢佳世)
晴れた夕方、天竜川沿いを歩くと
両側に広がる2つのアルプスが
それぞれ違った色に染まる様を楽しめる。

日が沈む方の中央アルプスは
背負った夕日の勢いで山の稜線がくっきりし、
やがて山は濃紺のシルエットになる。
もう一方の南アルプスは夕日に照らされ、
山頂が徐々にピンク色に染まり始める。
高い場所はピンク色だけれど中腹はむらさき色で、
さらに日が届かない山裾は青く、
3段階のグラデーションが美しい。
刻一刻と色が変わっていく様子は
まるで雄大なスペクタクルショーを見ているかのようで、
2つのアルプスが望める伊那谷ならではの特権でもある。

いつか、
遮るもののない見晴らしのいい場所で、
両アルプスに夕日が沈む様を
ただただ眺める、
そんなぜいたくな時間を過ごしてみたいと思う。
清沢佳世

イラストレーター
長野県出身
多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業
東京で様々な仕事をしながら制作活動を続け、
2020年初秋、地元に引っ越し、
2021年正月から伊那谷での暮らしを始める。
イラストレーション制作のほか、
こけしの絵付け販売もしています。

ホームページ:https://kokeshidoh.main.jp
インスタグラム:@kiyosawakayo