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#10 木端微神(大宮のぞみ)
「これを作るお仲間はもうみんな
天国に行っちまったで」
そう語るのは
宮田村で『暴れ神輿』
津島神社の祇園祭のお神輿を作る
伊藤建築の伊藤秀雄さんだ

年季の入ったノミやトンカチ、
様々な木材が並ぶ作業場では
完成を待つ神輿が
ひとり、
時間が止まったように
ひのきの匂いを漂わせている

丁寧に鉋がかけられ
壊すなんて言葉すら
ためらわれるような
美しい姿だけれど

祇園祭本番には
氏子の手により
石段から投げられ

木っ端になって
参列客に拾われ
各々の家の神棚に飾られる

そうして
神輿から姿を変えて
その家を守る神となるのだ
イラスト・文

大宮のぞみ

イラストレーター 
長野県駒ヶ根市生まれ
外国語大学スペイン語学科卒、
マドリード留学を経て
2011年に駒ヶ根市にUターン。
2人の子供を育てながら
伊那谷の美しさに囲まれて日々を暮らしています