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#19 わたしのための小さな火(大宮のぞみ)
乾いた薪に赤く光る火が
薪ストーブの中で
ゆらゆらと揺れる

大きく重厚感のある
薪ストーブの脇に
空気を送り込むための
小さなペダルがある
たくさん空気を送り込めば
炎は大きく燃え盛り
部屋を暖めてくれる

ペダルを回して
入れる空気を少なくすると
炎は縮こまって薪の下に潜り込み
黒い炭をほのほのと光らせる

温かいマグカップを膝に乗せ
ほのほのと、とろめく火を見つめる
月はもうこんなに傾いて
窓から覗きにやってきた
わたしは気まぐれに
ストーブの中を鉄棒でかき混ぜて
新しい薪をくべる
足元で猫がにゃあと鳴く

これは、わたしのための
特別な時間。
イラスト・文

大宮のぞみ

イラストレーター 
長野県駒ヶ根市生まれ
外国語大学スペイン語学科卒、
マドリード留学を経て
2011年に駒ヶ根市にUターン。
2人の子供を育てながら
伊那谷の美しさに囲まれて日々を暮らしています