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③ ライチョウ復活プロジェクト
長野県のシンボル 雷鳥
高山に生息し、長野県の県鳥にも選ばれている雷鳥は、環境省の第4次レッドリストにも登録されている絶滅危惧種です。

県内では北・南アルプスや御嶽山の岩石地帯に生息しており、中央アルプスでは絶滅したとされていました。それが2018年になって、北アルプスから飛来してきたとされるメスの個体の生存が中央アルプスで確認されました。これによってにわかに動き出したのが、「雷鳥復活プロジェクト」です。
雷鳥復活プロジェクト
発見されたメスの雷鳥に、他の山から持ってきた有精卵をふ化させてヒナを誕生させるというのが、このプロジェクトの概要です。雷鳥には、オスがいなくても無精卵を産んで温めるという習性があります。この習性を利用し、北アルプスの乗鞍岳で採取してきた有精卵と、中央アルプスに生息するメス雷鳥の温める無精卵を交換する作戦です。

作戦が決行されたのは2019年6月。あらかじめ乗鞍岳で見つけておいた有精卵を採取(繁殖に影響を与えないよう複数の巣から集めたもの)し、その日のうちに中央アルプスのメスの巣まで運んで無精卵と取り換えました。

そして3週間後、6つ中5つの卵がふ化しているのが確認され、約半世紀ぶりに中央アルプスで雷鳥のヒナが誕生しました!
しかし、その喜びもつかの間、ヒナが誕生してからわずか10日後、天敵に捕食されたか、ヒナの姿を確認するにはいたりませんでした。
次なる作戦
この結果を受け、今後は、乗鞍岳でふ化したヒナを一か月間ほど親鳥と共に専用ケージに収容して夜間の天敵の襲撃から守り、その後に成長した雷鳥を中央アルプスへ移すという方法がとられる予定です。

この取り組みが成功すれば、近い将来、中央アルプスの稜線上で、愛らしいフォルムの雷鳥に出会えるようになるかもしれません。もしも彼らに出会えたら、一度はここで絶滅した雷鳥が、人の手によって再び中央アルプスで生息するようになったことをちらりと思い出し、静かに見守ってやってほしいと思います。

(2020.3)
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