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②中央アルプス遭難対策協議会救助隊 北原大司隊長に聞く 中央アルプスの魅力
伊那市在住の北原大司さん(63)。中央アルプス遭難対策協議会救助隊に20年以上在籍し、救助隊・相談役として活動。現在は同救助隊の隊長を務めています。
中央アルプスについてよく知る北原さんに、中央アルプスの魅力についてお伺いしました。
写真:産直新聞社
編集部:はじめに、中央アルプス遭難対策協議会としての活動について簡単に教えてください。

北原さん:簡単に言うと、救助や捜索といった、遭難が起こってからの活動と、それが起こる前に、遭難を事前に防ぐための活動とに分けられます。



編集部:遭難を防ぐ活動とは具体的に?

北原さん:登山道の整備や、看板の設置、また最新の山の状況などを、HPを通じて発信したりもしています。
編集部:遭難がない時でも山に入って活動されているんですね。そんな北原さんが考える中央アルプスの魅力について教えてください。

北原さん:中央アルプスは、北アルプスや南アルプスと比べるとコンパクトですが、その中にカールや岩稜、花畑などの様々な魅力が凝縮されていると思います。そしてその中心に、中央アルプスロープウェーがある。この存在が一番の特徴ではないでしょうか。これによって、普段山に登らない人や、車いすなど足の不自由な人でも高山へ行くことができます。もちろんこのことは、遭難や怪我などのリスクにもつながり得るのでデメリットもありますが、ロープウェーのおかげで他の山よりも多様な人が中央アルプスを訪れてくれていると思います。
編集部:ハイシーズンは特に、登山者に限らず多くの人がロープウェーを利用していますね。

北原さん:はい。また、冬山を訪れる人もいます。厳しい冬の高山の景色は、本来、ごく限られた人しか見られないものですが、ロープウェーがあることで、それを多くの人が楽しめますよね。これはとても大きいです。



編集部:確かに。冬山の景色なんて一般の人には映像や写真でしか触れられないものですよね。
北原さん:また、コンパクトという面から言うと、例えば、草地にはキバナノコマノツメ、そこからすぐ近くの砂礫地には、タカネスミレが咲いています。すぐそばに、異なる環境で育つ植物があるのは、とても貴重なことです。少し歩いただけでこうした変化を味わえるというのも、急峻でコンパクトな中央アルプスならではの魅力です。



編集部:知りませんでした。高山植物の名前や特徴を知っていると、より楽しめますね。

北原さん:はい。ただぼーっと歩いていても、この魅力には気づけないかもしれませんが、興味を持って歩くと、その価値やすばらしさに気づいて、より山を楽しむことができると思います。なので、より多くの人に興味を持ってもらえるような発信方法を工夫していきたいと思っています。
中央アルプスは「国定公園」へ
編集部:今年から、中央アルプスの中心部が、国定公園になると聞きました。

北原さん:はい。現在中央アルプスは、県の自然公園ですが、それが国定公園に代わって、保護対象区域が広くなります。名前が変わることによって、観光面での効果も期待できると思います。またこれをきっかけに、例えば登山道やトイレなどの設備を整備するなど、いろんな動きが始まることも期待できます。中央アルプス遭難対策協議会として、自治体とも協力しながら、中央アルプスの魅力をより多くの人に知ってもらえるような活動をしていきたいと思います。



編集部:期待しています。ありがとうございました。

(取材・文:産直新聞社)